歩く時ふらつく症状が数カ月…何の病気が原因? 専門医が解説

 数カ月前から歩く時に体がよくふらつき、何かにつかまらないと歩けない時もあります。たまに頭がふわふわして気分が悪くなります。一時症状はなくなりましたが、またふらつくようになりました。寝ている時や座っている時は大丈夫です。考えられる原因はなんでしょうか。どうすればよくなるでしょうか。(70代男性)

【お答えします】柏原健伸・福井県立病院脳神経内科医長

■原因特定へふらつきの状態を観察

 歩く時にふらつくというご相談ですね。いったん改善したようですが、症状が数カ月間続いているようなので、詳しい検査を受けることが望ましいと思います。

 「ふらつき」という言葉は視界が回る・揺れる、頭がふわふわした感じがする、足元がおぼつかない感じがするなど、いろいろな状態を含んでいるので、ご自分でよく観察していただき、それを伝えていただけるとより適した検査が受けられる可能性が高くなります。また、症状は立っている時や歩いている時に常にあるのか、時々あるのか(時々であれば頻度や症状の続く時間)、何かきっかけがあって症状が出るのか(振り向いた時や上を見た時、両足をそろえて立った時など)についてもメモをとっておくと診察時に役立ちます。

■生活の質の低下につながる

 ふらつきの原因としては脳、脊髄(背骨の中の太い神経)、末梢(まっしょう)神経(手足の先まで伸びる細い神経)などの神経の異常によるもの、三半規管(耳の奥にある体の平衡感覚に関わる部分)や前庭神経(三半規管からの情報を脳に伝える神経)など耳の異常によるもの、不整脈や心機能低下など心臓の障害によるもの、その他筋力低下や脱水、栄養の障害などさまざまなものがあります。加齢によっても生じ、60歳以上の方では約30%に日常的なふらつきやめまい感があると言われています。それぞれの原因によって受診する医療機関や専門科が変わってくるので、一度かかりつけ医の先生とご相談いただくと良いです。治療については原因によって異なりますので、症状の原因を調べてからご相談ください。

 脳神経内科では筋力や平衡感覚、感覚障害の評価、脳や脊髄の画像検査(CTやMRI)、末梢神経の異常を調べる神経伝導検査、自己免疫やビタミンなど特殊な項目を追加した血液検査などでふらつきの原因を調べています。

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 特にご高齢の方ではふらつきは生活の質(quality of life)の低下に関わる重要な問題であり、転倒からの生活への影響を防ぐ意味でも適切な診断、治療を行うことが求められています。症状が続く場合、段々ひどくなる場合は詳しい検査を受けることをおすすめします。

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