今季のダラス・マーベリックスは、クラッチシチュエーションで無類の強さを誇っている。
試合時間残り5分、5点差以内を指すこの状況で、マブズはリーグベストの21勝8敗(勝率72.4%)を記録。リーグ得点王の平均33.8点を叩き出すルカ・ドンチッチと、同25.4点をマークするカイリー・アービングという、クラッチタイムに滅法強いスターを擁していることがその要因と言えるだろう。
もっとも、現地時間3月29日(日本時間30日、日付は以下同)に敵地ゴールデン1・センターで行なわれたサクラメント・キングス戦で、決勝弾をねじ込んだのはダンテ・エクサムだった。
第4クォーター残り27.5秒、103-103の場面から左ウイングでフリーになったエクサムは、値千金の3ポイントをヒット。107-103で接戦を制する立役者となった。
今季からマブズに加入した28歳のガードについて、ジェイソン・キッドHC(ヘッドコーチ)はキングス戦後に「我々はエクサムのことを信頼している」とコメント。オーストラリア代表のガードはその前に3本連続でショットを落としていたものの「ひとつ落としても、次は入る。僕は常にそういうマインドセットを持っている」と語っていた。
キングスのマイク・ブラウンHCは、試合後にエクサムをこう称えていた。
「彼らが勝負所で見せた遂行力はものすごくハイレベルだったし、エクサムが重要な場面でスリーをようやく決めたんだ。ウチの選手たちが見せた努力には拍手を送る。だが、この試合を取りこぼしたことは辛いね」
伏兵の一撃でシード順位を争うライバルを下し、さらに31日のヒューストン・ロケッツ戦にも勝利したことで、マブズの今季成績はウエスタン・カンファレンス5位タイの45勝29敗(勝率60.8%)に。7位タイのキングスとフェニックス・サンズとのゲーム差は2.0に拡がっており、昨季逃したプレーオフへストレートインできる可能性が高まってきている。
文●秋山裕之(フリーライター)