輪島塗工房から釜石へ恩返し 不動寺内・弘法寺へ箸500膳

駒木山不動寺に届いた輪島箸。森脇妙紀さんは交流のある人たちに配り「能登に思いをはせてほしい」と語る=釜石市駒木町

 能登に心を寄せる、架け橋になる―。岩手県釜石市の駒木山不動寺内・弘法寺住職、森脇妙紀(みょうき)さん(61)は、「輪島箸」を檀家(だんか)や知人に贈っている。能登半島地震で工房が全壊し、支援金を送った石川県輪島市の塗師(ぬし)屋傳兵衛(でんべえ)から届いた。こんな恩返しのリレーは2017年に不動寺が「山津波」に見舞われてから続く。地震発生から1日で3カ月。箸を通じて被災地の現状を広く知らせ、日本を代表する伝統工芸の復活を後押しする。

 金色の昇竜が描かれた輪島箸。「どんな思いで全壊した所から引っ張り出してくれたのか。気持ちを酌みたい」。3月上旬に届いた、約500膳。大量の箸を見つめ、思いを巡らせた。

 傳兵衛とは、10年以上前から毎年、干支(えと)にちなんだ箸を購入するなどして取引があった。地震が起きた1月の下旬、身を案じていた店主の野口一幸さん(66)と連絡が取れた。工房が壊れ、避難先から迂回(うかい)路を片道8時間以上かけて車で向かい、片付けていることを知った。

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