医療の「2024年問題」4月1日から“勤務医”の残業規制 地域の救急医療に影響か

4月から、暮らしに関わる制度や仕組みが変わります。

例えば、新型コロナウイルスについてはこれまで公費でまかなわれていたワクチン接種や治療について、4月1日から自己負担になります。また、教育現場では、小学5年生から中学3年生の英語の授業でタブレットやパソコンに対応したデジタル教科書が導入されます。

さらに、働き方では建設業や運送業、医師などの時間外労働に上限が設けられます。いわゆる「2024年問題」が懸念される中、福島県いわき市の病院では入職式が行われました。

土日祝日関係なく出勤する人がえらい?「意識改革が重要」

いわき市のかしま病院で行われた入職式には、看護職・リハビリ職などの新入職員21人が出席。病院を運営する社団医療法人「養生会」の中山大理事長は「チームで働くためには、情報共有のためのコミュニケーションが大切です」とエールを送りました。

いわき市出身の新入職員 作業療法士・土屋倫子さん「きっと患者様からたくさん学ぶことの方が多いと思うので、学んだことを生かしてこれから先もっと色々な人を手助けできる人間になりたい」

医療業界の人手不足が全国的な問題となる中、この病院でも慢性的な医師の人手不足に悩んでいます。

養生会・中山大理事長「絶対的に数が足りないというよりは、タイムマネジメントの仕方が我々の業界では大事と感じている」

こうした中、「医師の残業に上限を設ける2024年問題」について、どのように捉えているのでしょうか。

中山理事長「医師、特にお医者さんの意識改革というのが非常に重要なポイントになると考えています。土日祝日関係なく出勤する人がえらくて見習わなくてはいけないという感じでずっと長らくいたのがこの業界だが、そんなことをしていてもお医者さん自身の生活の資質も上がらないし、実はエラーが多くなってくる」

「かしま病院」では残業問題に対応するため、患者に対し複数の医師が担当するなど、チームで対応する態勢を数年前から取っているということです。

医師の働き方改革、地域医療に影響は

医療現場では、「医師の働き方改革」で生じる「医療の2024年問題」が懸念されています。

背景にあるのが、「医師の長時間労働」です。これまで、医師は時間外労働の制限なく患者の診察などにあたってきました。しかし、おととし行った調査では、医師のおよそ2割が過労死ラインの年間960時間を超える時間外労働を行っていました。医師の健康を守り、過労によるミスを防ぐためにも医師の働き方が見直され、新年度の4月1日から『勤務医』を対象に「残業時間が規制」されます。

具体的に、時間外労働の上限が大きく3つに分類されています。すべての勤務医が年間960時間となり、地域医療を担う医師や技能向上を目指す研修医は、1860時間が上限に。

一方、働き方改革で生じる問題の一つが、地域の救急医療の維持です。医師の労働時間が制限されることで、これまでのように地域医療に対応できなくなるのではと懸念されています。

福島県の内堀知事は、1日の会見で「医師の働き方改革が県の地域医療提供体制に大きな影響を及ぼすことがないよう、県医師会や福島労働局など関係機関と連携し、医療機関の労働時間短縮に向けた取り組みなどを支援していく」と話しました。

医師の労働環境と地域医療の両輪を守る対策が必要です。

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