『ゴジラxコング 新たなる帝国』北米でNo.1ヒット 『ゴジラ-1.0』から続く空前のブームに

怪獣王が再び世界を席巻した。アメリカにおける『ゴジラ-1.0』(2023年)の歴史的ヒット&アカデミー賞受賞に続き、今度は『ゴジラ』シリーズと『キングコング:髑髏島の巨神』の世界観がクロスする『ゴジラxコング 新たなる帝国』が北米週末ランキングの第1位を獲得。海外市場でも驚異的なスタートを切った。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』はワーナー・ブラザース&レジェンダリー・ピクチャーズが手がける「モンスター・ヴァース」フランチャイズの第5作。3月29日~31日の3日間で北米興行収入8000万ドルを記録し、事前の予想値である4500~5500万ドルを大幅に上回った。『GODZILLA ゴジラ』(2014年)に次いでモンスター・ヴァース史上第2位のオープニング興行収入にして、イースター(感謝祭)の週末としては歴代第5位の成績だ。

海外63市場では興行収入1億1400万ドルを記録し、世界累計興収は早くも1億9400万ドルに到達。絶好調の決め手は中国市場で、国内興収4400万ドルと、最近のハリウッド映画がめったに叩き出せない数字となった。そのほか、メキシコやインドでも記録的ヒットとなっている。

北米・海外ともに、本作のスタートは『デューン 砂の惑星PART2』に匹敵するもの。これは業界関係者やアナリストもまったく予想できなかった展開で、両作を手がけるワーナー&レジェンダリーにとっては大きな快挙だ(ちなみに『デューン 砂の惑星PART2』は今週も第3位。北米興収2億5239万ドル、世界興収6億2609万ドルとスマッシュヒットを継続中である)。

前作『ゴジラvsコング』(2021年)のアダム・ウィンガード監督が復帰した『ゴジラxコング 新たなる帝国』は、タイトル通りゴジラとコングが未知の脅威を前に本格共闘する新展開。2大怪獣が全力疾走する予告映像は世界的に大きな話題を呼んだ。製作費はモンスター・ヴァース史上最低の1億3500万ドルだから、やはりビジネスとしては勝利が決まったような滑り出しというほかない。

興行のポイントは、IMAXほかプレミアムラージフォーマットの需要の高さ(チケット売上の4割程度を占める)と、日頃あまり映画館に行かない観客が劇場に足を運んだこと。Deadlineによると、観客の26%が「1カ月に1回程度」、22%が「年に数回以下」と答えたという。また、観客の半数以上がチケットを当日に購入したことから、その日いきなり鑑賞を決めた観客が相当多かったと推測される。

男女比は男性67%・女性33%で、全体の62%が35歳以下。作品の支持率も高く、口コミ効果が大いに期待できる。Rotten Tomatoesでは批評家スコアこそ55%と渋いものの、観客スコアは93%という高得点。出口調査に基づくCinemaScoreでは、『ゴジラvsコング』に次いでモンスター・ヴァース史上2番目の高評価である「A-」を獲得した。別の調査では観客の96%が「期待以上・期待通り」と回答し、72%が「続編も観たい」と答えている。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』の日本公開は4月26日。ゴールデンウィークに本邦でもその存在感を発揮できるか。

一方、ゴジラ&コングが大暴れした影響をもろに食らったのが、第2位の『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』だ。週末3日間の興行収入は1570万ドルで、初週の4500万ドルから-65.1%というかなり大きな下落となった。観客のターゲット層が重なったこと、2週目まで観客の関心を惹きつけきれなかったことが大きな要因とみられる。

北米興収は7340万ドル、世界累計興収は1億850万ドル。製作費は1億ドルなので、ここからまだまだ粘りを見せる必要がある。うまく興行を持ち直せない場合、北米累計興収が前作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2021年)の1億2936万ドルに届かない可能性も出てきているのだ。

IMMACULATE - Official Trailer
第5位は前週に続きシドニー・スウィーニー主演のホラー映画『Immaculate(原題)』で、上映館数は2362館、週末3日間で326万ドルを記録した(前週比-38.8%と、ホラー映画としては健闘を続けている)。製作費は1000万ドル以下だが、北米興収はすでに1112万ドル。今後の配信&ソフトリリースも見据えて興行的成功の道を突き進んでいる。

Late Night With the Devil - Teaser Trailer
先週もご紹介した、デヴィッド・ダストマルチャン主演のフェイクドキュメンタリー映画『Late Night With the Devil(原題)』は、上映館数を408館増やして(計1442館)2週連続で第7位をキープ。週末3日間で220万ドル、前週比は-22.2%という驚きのホールド力だ。北米興収は629万ドル。

なお『ゴジラxコング 新たなる帝国』と『デューン 砂の惑星PART2』の大ヒットにより、ストライキの影響で話題作が不足していた1~2月から北米市場の状況は大幅に改善した。数週間前までは前年比80%程度の興行収入にとどまったが、現時点では93.7%まで回復したという。問題はここから再び大作が大幅に減る懸念があることだが、ひとまず現状は決して悪くない。

北米映画興行ランキング(3月29日~3月31日)
1.『ゴジラxコング 新たなる帝国』(初登場)
8000万ドル/3861館/累計8000万ドル/1週/ワーナー

2.『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(↓前週1位)
1570万ドル(-65.1%)/4345館(変動なし)/累計7340万ドル/2週/ソニー

3.『デューン 砂の惑星PART2』(↓前週2位)
1110万ドル(-37%)/3136館(-301館)/累計2億5239万ドル/5週/ワーナー

4.『Kung Fu Panda 4(原題)』(↓前週3位)
1020万ドル(-38.2%)/3582館(-223館)/累計1億5165万ドル/4週/ユニバーサル

5.『Immaculate(原題)』(↓前週4位)
326万ドル(-38.8%)/2362館(+8館)/累計1112万ドル/2週/NEON

6.『Arthur the King(原題)』(↓前週5位)
240万ドル(-43.7%)/2525館(-478館)/累計1906万ドル/3週/ライオンズゲート

7.『Late Night with the Devil(原題)』(→前週7位)
220万ドル(-22.2%)/1442館(+408館)/累計629万ドル/2週/IFC Films

8.『Tillu Square(英題)』(初登場)
187万ドル/450館/累計187万ドル/1週/Prath

9.『Crew(英題)』(初登場)
150万ドル/486館/累計150万ドル/1週/Funasia Films

10.『Imaginary(原題)』(↓前週8位)
140万ドル(-49.7%)/1956館(-557館)/累計2623万ドル/4週/ライオンズゲート

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年4月1日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W13/
https://deadline.com/2024/03/box-office-godzilla-x-kong-the-new-empire-1235871440/
https://deadline.com/2024/03/late-night-with-the-devil-indian-films-indie-box-office-1235872611/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/godzilla-x-kong-new-empire-huge-box-office-opening-1235863501/
https://variety.com/2024/film/box-office/godzilla-x-kong-opening-day-1235956056/
https://variety.com/2024/film/box-office/box-office-godzilla-kong-beats-expectations-opening-weekend-1235956468/
(文=稲垣貴俊)

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