【2024年度】後期高齢者医療の保険料率が公表。負担が増えるのはどんな人?

老後の保険料・税金負担は意外に重い

2024年4月1日、厚生労働省は後期高齢者医療制度の2024・2025年度の保険料率を公表しました。

後期高齢者医療とは、原則として75歳以上のすべての人が加入する公的な医療保険制度です。

後期高齢者医療保険料は、2023年5月12日に「75歳以上の後期高齢者医療保険料を段階的に引き上げる改正健康保険法」が成立しており、一定の年収要件を満たした75歳以上の人を対象に保険料が値上げされる予定です。

年金生活になっても保険料の支払いは続くため、高齢者の税金・保険料負担は意外と重いとされています。

本記事では、公表された後期高齢者医療制度の2024・2025年度の保険料率を解説。

記事後半では、2024年度の値上げにより影響が出る対象者についても解説します。

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「後期高齢者医療制度」とは?対象者や制度の概要をわかりやすく解説

後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上のすべての人が加入する公的な健康保険制度です。

後期高齢者医療制度の加入対象者

一定の障害があると認定された65歳以上の人も、他の健康保険と比較して任意で加入することができます。

他の健康保険と同様に、一部負担(所得により1割~3割)をすることで残りの給付が受けられます。また、医療費が高額になったときの高額療養費制度なども、他の健康保険と同様にあります。

後期高齢者医療制度の運営は、各都道府県に設置された「後期高齢者医療広域連合」が行っており、すべての市町村が加入しています。

後期高齢者医療制度の保険料はいくら?

後期高齢者医療制度の保険料は、下記の2種類の保険料で構成されています。

  • 均等割額:被保険者が均等に負担する保険料
  • 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料

保険料は各都道府県によって異なります。また前年の所得によって変動するため、毎年6月~8月頃に届く通知書で1年間の保険料を確認しましょう。

基本的に、保険料は年金から天引きされます。

2024年度・2025年度の後期高齢者医療制度の保険料率が決定

2024年4月1日、2024年度・2025年度の後期高齢者医療制度の保険料率が決定しました。

厚生労働省の発表によると、下記のとおりです。

2024年度の後期高齢者医療制度の保険料率と全国平均

2024年度後期高齢保険料率
  • 被保険者均等割額の年額:5万389円
  • 被保険者均等割額の月額:4199円
  • 所得割率:10.21%
  • 平均保険料額の年額:8万4988円
  • 平均保険料額の月額:7082円

2022年度~2023年度は平均保険料額の月額が6575円だったので、7.7%の増加です。

2025年度の後期高齢者医療制度の保険料率と全国平均

2025年度後期高齢保険料率
  • 被保険者均等割額の年額:5万389円
  • 被保険者均等割額の月額:4199円
  • 所得割率:10.21%
  • 平均保険料額の年額:8万6306円
  • 平均保険料額の月額:7192円

2025年度はさらに、1.6%で増加して月額7192円となります。

ただし、これはあくまでも平均的な金額であるため、実際には居住地や所得によって異なります。

例えば年金収入195万円の人の場合、東京都では5044円、大阪府で6211円、福岡県で6357円です(2024年度)。

さらに、後期高齢者医療制度の保険料は近年値上げの動向が続いています。その背景を探りましょう。

後期高齢者医療制度の保険料が値上げになる背景

後期高齢者医療制度の保険料は、ここ数年増加傾向にあり、2024年度においても保険料の値上げが決定しています。

大きな理由としては、少子化の影響により高齢者を支える現役世代が減少し、一人当たりの負担が高まっていることが挙げられます。

負担分を「高齢者と現役世代で折半」できるよう、2年に1回の頻度で高齢者負担率が見直しされています。これにより、2024年度にも保険料の値上げがされることとなりました。

後期高齢者医療保険料の値上げで負担が増える人

2024年度の値上げは一律ではなく、各都道府県や収入によって異なります。

一例として厚生労働省「医療保険制度改革について」より、各年収ごとの保険料額の例を確認しましょう。

たとえば、年収400万円の人の場合は増加額が1万4500円となっています。これに対し、年収1100万円の人の場合は13万円もの増加に。

高収入の人ほど負担が大きくなるようです。

これは賦課限度額が引き上げられていることが一因となっていると考えられます。

低所得者には保険料の軽減措置も

後期高齢者医療の保険料が値上げにより、高収入の人ほど負担額が大きくなると解説しましたが、所得の低い人に対しては「保険料の軽減措置」が予定されています。ただし、広域連合によって異なるため、居住地での確認が必要です。

保険料の軽減措置の例

  • 均等割額の軽減
  • 所得割額の軽減
  • 被扶養者だった方の軽減

また、災害や事業の休廃止などで著しく所得が減少した場合は、申請により「保険料の減免」を受けられるケースがあります。

より詳しく知りたい方は、住所地を管轄する都道府県の後期高齢者医療広域連合のホームページで確認してみましょう。

老後の保険料・税金負担は意外に重い

2024年度・2025年度の後期高齢者医療の保険料率が決定・公表されました。

少子化対策の財源としても、支援金の動向が注目されています。

長生きの時代になれば、それだけ医療費がかさむのは仕方がないのかもしれません。ただし、高齢者世帯だけでなく現役世代においても、支援金の負担はかかっています。

今の給与から天引きされているお金もしっかり意識し、手取り額を把握しておきましょう。

さらに、老後も税金や保険料の負担は意外と重い事実を知り、老後資金は余裕をもって準備しておくことが大切になります。

参考資料

  • 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
  • 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の決め方・賦課」
  • 厚生労働省「医療保険制度改革について」

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