1年前の「エイプリルフール」ネタ、亀田製菓まさかの商品化のなぜ 識者が指摘「企業のユーモアや企画力が試されている」

ウソから出たマコト? 「亀田の柿の種」「ハッピーターン」の亀田製菓は2024年4月1日、エイプリルフールの冗談として昨年(2023年)Xに投稿して話題になったお菓子「ハッピーターン」ならぬ「つらターン」を発売すると発表した。

思えば例年、エイプリルフールの4月1日には、Xの企業アカウントではエイプリルフールの「ネタ商品」が投稿されて、盛り上がることが少なくない。

インターネット文化に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏は、そのネタが「商品となって実現するのは珍しい」として、企画のユニークさを評価する。

1年前の4月1日、「【悲報】亀田製菓から「つらターン」が登場」と投稿

「【今年は嘘じゃありません】エイプリルフールネタを本気で実現」

亀田製菓が発表したリリースには、こう書かれている。そのリリースによると、同社のお菓子「ハッピーターン」ならぬ「つらターン」が、4月1日から順次限定発売されるというのだ。

開発経緯がおもしろい。1年前の同じ日――4月1日。同社のX「ハッピーターン【公式】」(@happyturnkameda)では、「【悲報】亀田製菓から「つらターン」が登場」「苦~いパウダーがかかった、なんともつらい味覚をご賞味あれ」と投稿した。

この投稿は「4.1万いいね」「1.2万リツイート」され、当時から「実際に発売してほしい」など話題に。それがきっかけとなって、開発を始めたという。

発表によると、「つらターン」は「ハッピーターン」の味を消さないように唐辛子を数種類厳選し、「甘い」「しょっぱい」「からい」のバランスをとったという。ちなみに、若者言葉の「つらたん」(つらい)をもじったネーミングだ。

今年の「エイプリルフール」ネタ ドミノ・ピザ「ピザタブレット」、雪印メグミルク「6Pチーズアイスバー」、サーティワン「たこ焼きフレーバー」

もっとも、4月1日の「エイプリルフール」ネタは例年、インターネット上で盛り上がる。

2024年は、ドミノ・ピザが「0秒ピザチャージ 瞬間、ピザタブレット」をキャッチコピーに、ピザの味わいが完全再現されているピザタブレットを販売する――という「ネタ」のリリースと特設サイトも用意した。ちなみに、特設サイトにある「今すぐ注文する」をクリックすると、「ウソ!」とネタ晴らしする仕様だ。

また、雪印メグミルクの「6Pチーズ」のXの公式アカウントでは、「6Pチーズアイスバー」を発売する――。サーティワンアイスクリームのXの公式アカウントでは「期間限定で、『たこ焼きフレーバー』作っちゃいました!!」――。もちろんどちらの告知も、エイプリルフールの「ネタ」だ。

こうしたX上で行われている「エイプリルフール」ネタは、いつからあったのだろうか。また、どうしてこれほど企業も参加しているのだろうか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏を取材した。

「エイプリルフール」ネタはネット黎明期から 海外でも盛り上がる

「インターネット上のエイプリルフールネタというと、1995年頃の黎明期からニフティがやっていました。おそらくネット上のコミュニティを盛り上げるためのジョークだったと思うのですが、企業のTwitter(現X)アカウントができ始めると、一気に増加し、現在も増えている実感があります」

井上氏によると、こうしたムーブメントはアメリカ、ヨーロッパ、韓国でもあるインターネット文化なのだという。

もっとも、亀田製菓のように、ジョークから商品化にまで行きつくケースはあるのだろうか。

井上氏は「エイプリルフールネタが反響を呼んで商品化されることはめったにないのでは。珍しいと思います」と話す。そして、こう解説する。

「そもそも企業のエイプリルフールネタはその企業のユーモアや企画力が試されるもの。最近では特に力が入ったものもあります。その流れでいえば、今回の亀田製菓さんの商品化は、練りに練っていた企画だと思います。話題性も十分ではないでしょうか」

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