モスクワ郊外襲撃、イランが事前に把握 ロシアに通知=関係筋

Parisa Hafezi

[ドバイ 1日 ロイター] - ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで先月発生した銃乱射事件に先立ち、イランがロシア国内で大規模な「テロ活動」が行われる可能性があるとの情報を把握し、ロシア側に伝えていたことが複数の関係筋の話で分かった。

この事件では少なくとも144人が死亡。過激派組織「イスラム国」(IS) が犯行声明を出した。

ある関係筋は「ロシアで攻撃が起こる数日前、イランはロシア国内で大規模なテロ攻撃が起きる可能性があるとの情報をロシア側に伝えた」と指摘。情報はイラン南東部ケルマンで1月に起きた爆破事件の容疑者への取り調べで把握したという。

ケルマンの爆破事件では約100人が死亡。ISが犯行声明を出した。イラン情報当局は事件に関与した35人を逮捕したことを明らかにしており、逮捕者にはアフガニスタンを拠点とするISの支部「イスラム国ホラサン州」(ISIS-K)の司令官も含まれている。

別の関係筋によると、イランはロシアに攻撃が差し迫っていると伝えたが、予想される攻撃の時期や場所など具体的な情報はなかった。

米当局者によると、モスクワ郊外の銃乱射事件を巡っては、米政府もロシア側に攻撃の可能性を警告していた。

ケルマンの爆破事件とモスクワ郊外の銃乱射事件にはタジキスタン国籍の実行犯が関与していた。治安専門家によると、ISIS-Kは貧困世帯が多いタジキスタンで積極的に戦闘員を勧誘している。

関係筋によると、イランは治安上の懸念についてタジキスタンとも協議。タジキスタンの外交筋は、軍事活動に関与するタジク人が増えていることについてイランとタジキスタンが協議したことを確認した。

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