青森県の給食無償化交付金 実施済み自治体への充当は「難しい」と知事 青森市の制度見直し意見書受け

 青森県が新設する学校給食費無償化等交付金制度を巡り、全市町村が同交付金を給食費無償化事業に活用できるように制度の見直しを求める意見書を青森市議会が県に提出したことを受け、宮下宗一郎知事は1日の定例記者会見で「既存の事業に充てられないのが今回の交付金の基本姿勢。制度の根幹に関わることであり、対応(見直し)は難しい」との見解を示した。

 同交付金は給食費を無償化していない市町村に対し必要経費を補助するもの。既に無償化済みの市町村に対しては新規の子育て支援事業費の8割を補助するが、給食無償化を含む既存の事業に充てることは認めていない。先行実施している青森市では、市議会が制度見直しを求める意見書を3月25日に可決し、県に送付していた。

 会見で意見書への受け止めを聞かれた宮下知事は「17市町村が先行して給食費を無償化していたからこうした新しい取り組みができる。今の制度で各自治体が創意工夫していただき、より良い制度に仕上がると期待している」と話した。

 一部の先行自治体が交付金活用による新規事業を行わない方針を示したことについては、直接説明を受けておらずコメントは差し控える-としつつ、「交付金を使うか使わないかは自由の選択だが、町民や子育て世帯に期待の大きい交付金になると思う。ぜひ活用いただきたい」と述べた。

 子育て支援全般に関しては「国、県、市町村だけが何かをしてもうまくいかない。各企業が十分に自覚して動かなければ、この国の子育て政策は完結しないと思っている」とし、民間企業も出産一時金や各種手当など支援体制を充実させるべき-と主張した。

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