ヒョンデが『アイオニック5 N eN1カップ』を発表。EVレース新時代の幕開けを告げるニューマシン

 ヒョンデは3月31日、プロドライバーを対象とした韓国最大のワンメイクレース・シリーズ、“ヒョンデNフェスティバル”の公式練習ラウンドにおいて、新型カップカー『IONIQ 5 N eN1 Cup(アイオニック5 N eN1カップ)』を発表した。

 2024ワールド・パフォーマンス・カーなど複数のアワードを受賞しているヒョンデの高性能EV(電気自動車)、アイオニック5 Nがベースとなっているこのマシンは、ヒョンデNフェスティバルのN1クラス、および今年新たに誕生する電動カテゴリー“eN1クラス”用に開発されたEVレーサーだ。

 モータースポーツ用に各種アップデートを受けた同モデルは、パワーエレクトロニクス・システムこそ最大出力650PSを発揮する量産型と同じだが、強化されたパワートレインとより大容量のバッテリーを搭載する。同時にサーキットでの激しい走行に耐えうる高い耐久性を実現した。

 また、このカップカーではボディキットもリデザインされ、空力性能を高めることでダウンフォース量が増加。スリックタイヤが装着される脚元には鍛造ホイールが奢られ、このほかにもFRPボンネット、ポリカーボネートウインドウを採用することで軽量化を果たしている。もちろん、ロールケージやハーネス、消化器などモータースポーツには欠かせない安全性も確保されている。

ヒョンデ・モーター・カンパニーのE-GMP(エレクトリック・グローバル・モジュラープラットフォーム)や堅牢なバッテリー熱管理システム、強力な回生ブレーキシステムといった最先端技術を採用するアイオニック5 N eN1カップ

「持続可能なレースへの当社のコミットメントの証であるアイオニック5 N eN1カップカーを発表できたことをとても誇りに思う」と語るのは、ヒョンデ・モーター・カンパニーでNブランド・モータースポーツ事業部の責任者を務めるティル・ヴァーテンベルグ常務。「この独自の電動レーシングカーは、レーストラックにおけるEVの限界を押し広げることに当社が熱心に取り組み、最先端技術の開発を行っていることの表れだ」

 まもなく始まるeN1クラス最初のシーズンは、ヒョンデNフェスティバルにおけるEVレースのトライアル期間となる。ヒョンデはこの間にeN1カップカーのテストと改良を行うが、参加するチームやドライバー、マーシャルもまた、EVレースという新時代の競技を学んでいくこととなる。充電関連のインフラや火災対応対策、緊急対応についてもこのトライアルシーズン中にさらに改良される見込みだ。

 今季2024年のヒョンデNフェスティバルは、4月27日(土)にインジェ・スピーディウムで開幕戦を迎える。

eN1クラスはオープンレギュレーションのもとで運営されるため、さまざまなメーカーのタイヤを使用することが可能だ
電気火災専用の消火器や窒息消火設備の設置、充電ポート位置の変更などの安全対策が施されている
アイオニック5 N eN1カップカーのパワーエレクトロニクス(PE)システムは量産型のアイオニック5 Nと同じだが、eN1カップではより強力なパワートレインと大容量のバッテリーが搭載されている
ヒョンデのカップカー。左からエラントラ(韓国名:アバンテ)N1カップ、アイオニック5 N eN1カップ、アバンテN2カップ

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