島民悲願のジェット機就航へまた一歩 屋久島空港延伸着手、鹿児島県が正式発表

滑走路延伸が決まった屋久島空港。現在はプロペラ機のみ就航する=2月28日、屋久島町小瀬田

 鹿児島県は1日、屋久島空港の滑走路延伸の事業化に着手すると正式発表した。2024年度中に測量を開始し、国に空港施設変更の許可申請を行う。国土交通省が本年度の新規補助事業として採択し、調査測量費5000万円を計上した。

 駐車場の整備費などを含めた総事業費は約169億円。費用負担はおおむね国8割、県2割。事業期間は33年度までの10年間の予定だが、完成時期は未定としている。測量結果を基に25年度以降、詳細設計と用地買収を進める。

 現行1500メートルの滑走路を奄美空港と同規模の2000メートルに延ばし、駐機場を拡張する。定員160〜180人程度のジェット機が離着陸できるようにする。

 日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、国内外の観光客に人気がある一方、首都圏からの直行便がなく、アクセスに課題がある。ジェット機就航は地元の「悲願」。空港延伸で交流人口の拡大や農林水産物の迅速な輸送の実現に期待が高まる。

 地元屋久島町では昨年6月、国に早期事業採択を求める数百人規模の「島民決起集会」も開かれた。荒木耕治町長は「(滑走路延伸は)持続的な発展の重要事項。町民と一丸となった取り組みが現実になってうれしい」と話した。塩田康一知事も「早期完成に向け、屋久島町と一体となって取り組む」とコメントした。

〈関連〉屋久島空港の位置と滑走路延伸部分を地図で確認する

© 株式会社南日本新聞社