「どの業務も必ず安全とつながる」「安全維持の決意の日に」 羽田事故から3か月、航空2社トップが込めた「安全」への思い

2024年4月1日に新年度が始まり、航空各社でも相次いで入社式が行われた。

1月2日には日本航空(JAL)機が羽田空港の滑走路で海保機と衝突し、海保機の乗員5人が死亡する事故が発生。大手2社のトップは祝辞で事故に言及し、安全運航の意義を改めて説いた。

JALはグループ40社から約2600人の新入社員が参加

JALはこの日、鳥取三津子専務が社長に昇格したばかり。午後に羽田空港の格納庫で行われた入社式の祝辞で、鳥取氏は事故について

「今後もこの教訓をしっかりと活かしていくために、改めて人の命の大切さ、そして、安全運航あってのエアライングループであることを皆さんと一緒に胸に刻みたい」

などと言及した。さらに客室乗務員(CA)出身の鳥取氏は、JALグループでの仕事は「どの業務に関わっていても、必ず安全につながっている」と指摘し、その先にいる乗客の命にもつながっていることを「決して忘れないで」と話した。

入社式にはグループ40社から約2600人の新入社員が参加。そのうち、CAとして採用された三浦雄咲(みうら・ゆうさく)さん(22)らが報道陣の取材に応じた。三浦さんは、事故発生を知ったときは「不安な気持ちになったが、やはり客室乗務員になりたいという気持ちが強くあった」。今後について

「1人1人のお客様に向き合い安心していただけるような、そんなサービスを提供できるように頑張っていきたい」

と意気込んだ。

ANAグループ入社式では1971年の雫石衝突事故にも言及

JALに先立って、スカイマークを挟んで2つ隣の格納庫で行われたANA(全日空)グループの入社式では、ANAホールディングス(HD)の芝田浩二社長が1月2日の事故に言及。1971年に岩手県雫石町上空でANA機と航空自衛隊の戦闘機が衝突し、ANA機の乗員・乗客162人全員が死亡した事故にも触れた。ANA機が関係した死亡事故は現時点ではこの事故が最後だ。芝田氏によると、「その後の52年間にわたり、グループ社員ひとりひとりが、仲間との相互理解と信頼をもとに、責任をもって誠実に行動し、安全を守ってきた」。

その上で

「この格納庫で迎えた今日の日を、ひとりひとりが責任感をもち、ANAグループの安全を維持していく一員となる決意の日だと心に銘じていただきたい」

と説いた。ANAHDは19年以来5年ぶりにグループ37社が格納庫に一堂に会して入社式を行った。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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