【ミャンマー】軍政「22億ドル返済」、農業生産拡大へ[経済]

ミャンマー軍事政権トップのミンアウンフライン総司令官は、3月29日に首都ネピドーで開催した会合で、対外債務のうち「22億米ドル(約3,330億円)を過去3年で返済した」と主張した。米欧による制裁や失政などで経済が混乱する中、「2023年度に開発が進んだ」と強調。コメなど農産品の生産を拡大して経済の安定化につなげたい考えを改めて示した。

ミンアウンフライン氏は返済した対外債務について、大半が歴代政権による借り入れ分だったとして、軍政が財政健全化に努めていることをアピールした。米欧各国によるミャンマーへの標的制裁については、「政治的な理由で経済、貿易、金融への制裁を科している」と非難。中国とタイへの天然ガス輸出にも言及し、「(米欧による制裁が)ミャンマーの権利を侵害している」と訴えた。

23年度(23年4月~24年3月)の経済成長率については、「前年実績より開発が進んだ」と話したが、具体的な数値には言及しなかった。ミャンマーでは昨年10月から少数民族武装勢力や民主派武装組織との武力衝突が増加。財政面では、現地通貨チャット安の進行が大きな課題となっている。

軍政は、農畜産業の振興と付加価値の高い加工品の輸出で経済を立て直そうとしているが、政情不安などが重しとなり、実現は容易ではない。ミンアウンフライン氏は昨年度の雨期作のもみ米の収穫について、「1エーカー(約0.4ヘクタール)当たり100籠(1籠=約20.86キログラム)が見込めるところ、実績は78籠にとどまった」と指摘した。

不作に伴い、昨年度はコメ価格が高騰した。国連食糧農業機関(FAO)によると、最大都市ヤンゴンでのエマタ種の卸売価格は今年2月に過去最高値を記録した。3月に入って下落に転じたが、依然として高い水準で取引されている。

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