【タイ】アユタヤ銀、深センEV視察を実施[車両]

在タイ日系部品メーカーがBYD本社を視察し、取引実現に向けて交流した=中国・深セン(アユタヤ銀行提供)

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のタイ連結子会社のアユタヤ銀行はこのほどMUFGバンク(中国)と連携し、タイに拠点を持つ日系自動車部品メーカーを対象に、中国の電気自動車(EV)大手である比亜迪(BYD)を中心に、中国深セン市に拠点を置くテック企業の視察を実施した。中国企業との取引に関心を持つ日系部品メーカー11社から15人が参加。参加者からは「これを機に中資系とのビジネスの具体的な検討を進めたい」といった声が聞かれた。

タイではBYDを中心に、EVに強みを持つ中国メーカーの存在感が急拡大している。アユタヤ銀には、顧客である日系部品メーカーから中国メーカーへの高い関心が寄せられており、第1歩として「まずはお互いの理解を深めたい」との要望が強かったことから視察を企画。MUFGバンク(中国) の深セン支店およびグローバルコーポレート営業部と協力し、視察を実現させた。アユタヤ銀による国をまたいだ外資メーカーへの視察の開催は、今回が初の試みだ。

参加者は3月4~5日に深センを訪れ、BYD本社を含むテック企業を視察。BYDにおいては、 同社のタイにおける事業戦略や現地生産に対する考え方について意見交換を行った。タイから8社10人、中国から2社4人、日本から1社1人が参加。いずれも、タイに現地法人を持つ日系メーカーだという。

■取引面には難しさも

一部の日系部品メーカーは中国で同国の完成車メーカーと取引しているが、アユタヤ銀によると「日系の完成車メーカーとは取引形態などが異なる部分もあり、難しさもある」という。

アユタヤ銀の担当者は「顧客企業(日系部品メーカー)も、国によって取引形態や慣習が異なり、必ずしも日系企業同士のやり方と同じようにはいかず難しい部分もあることは認識している。だがタイでマーケットシェアが増えているため、条件が合うのであれば取引したいということで情報収集に積極的だ」と説明。参加者からは「貴重な経験だった」「次回もこうした視察の機会があればぜひ声をかけてほしい」など、前向きな感想を多く得たと明らかにした。

アユタヤ銀はMUFGと自社のグローバルネットワークを生かし、今後も自動車業界を対象に他国への視察を企画していきたいと意気込む。タイの自動車業界関係者の間では中国と並んでインド市場への関心が高く、早くも「次はインド視察を」との要望が上がっているという。

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