トランプ氏SNS企業、株価急落 債務履行巡る疑念を表明

Yuvraj Malik Priyanka G

[1日 ロイター] - トランプ前米大統領のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)の株価が1日の取引で21%下落し、前週の上場後の上昇分を消す展開となった。

TMTGは株式を3月26日に米ナスダック市場に上場したばかり。多額の損失を明らかにし、継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)を巡る疑義を提起したことが売りにつながった。

上場初日にはトランプ氏の支持者を含む個人投資家からの熱狂的な買い支えで急騰し、終値で約58ドルを付けていた。1日は開示を受け48.66ドルで引けた。

インサイダー・インテリジェンスのアナリスト、ロス・ベネス氏は「トゥルース・ソーシャルは過大評価されており、その現実が株価の足を引っ張っている。このサービスには黒字化への明確な道筋がなく、収益も微々たるものだ。上場時の高値は持続不可能だった」と指摘した。

トランプ氏は7875万株を保有しており、価値によって大きな利益を得る可能性がある。前週の高値では保有株の価値は60億ドル超だったが、急落後は約38億ドルとなる。

トランプ氏は半年間、保有株の売却や保有株を裏付け資産とした借り入れが認められておらず、この契約を変更しようとすれば、さらに売りが増える可能性が高い。

TMTGおよび同社と合併した特別買収目的会社(SPAC)のデジタル・ワールド・アクイジションを狙った空売り筋は、1日に年初来の損失の大部分を取り戻した。金融技術・分析会社S3パートナーズによると、1日の急落で空売り筋の帳簿上の利益が6500万ドルとなり、年初来の損失は1億2600万ドルに縮小した。

TMTGは提出文書で「2023年12月31日、および22年12月31日の時点で、債務履行に十分な資金を有しているかどうか、経営陣は大きな疑念を持っていた」と言及。当面の間、営業損失が発生し、キャッシュ・フローはマイナスになると予想しているとした。

TMTGは23年12月期決算で5820万ドルの純損失を計上。前年は5050万ドルの純利益を計上していた。売上高は413万ドルと、前年の147万ドルから増加した。

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