新人看護師「輪島の力に」 避難所生活「仕事に役立てたい」 離職続出の奥能登に地元の2人

市立輪島病院で看護師の道を歩みだした竹園さん(右)と浦田さん=同病院

 「生まれ育った輪島の力に」。能登半島地震から3カ月となった1日、新年度を迎えた被災地で、看護師として新たな一歩を踏み出した2人の女性がいる。市立輪島病院で働くことになった竹園(たけその)雅さん(23)=輪島市河井町=と浦田美空(みそら)さん(22)=同=。他地域への避難などで看護師の離職が相次ぐ中だが、2人は「人の痛みが分かる看護師になりたい」と、ふるさとの医療を担う道を選んだ。

  ●竹園さん、浦田さん 市立病院へ 

 2人は、輪島市河井小から輪島中、輪島高へ進んだ。高校卒業後、竹園さんは富山県立大で看護資格を取得し、金大で養護教育を勉強。浦田さんは金沢市の石川県立総合看護専門学校で学業を積み、昨年、市立輪島病院への就職が決まった。

 竹園さんは学生時代、輪島病院に入院した親類の世話をする看護師に憧れを抱いた。浦田さんは中学生の時に事故で県立中央病院(金沢市)に入院した際、献身的に支えてくれた看護師を見て同じ道に進もうと決めた。

 いずれも市内の自宅が半壊するなどの被害を受け、家族とともに避難所生活を送る2人。水を満足に使えず、段ボールベッドで眠る日々だが、「大変な思いをしている人は他にもたくさんいる。だから苦にならない」(竹園さん)という。

 浦田さんも「避難所で暮らしていると困っている人の気持ちが分かる。看護師の仕事に役立てたい」ときっぱり。輪島病院で働きたいとの思いは、地震で揺らぐどころか、ますます強くなった。

 同病院では、地震で住まいを失うなどし看護師19人が離職した。「ふるさとの役に立ちたい」。2人はその一念で、被災地医療の最前線に立つ。

  ●珠洲は8人、穴水、宇出津3人ずつ

 1日、珠洲市総合病院は8人、公立穴水総合病院と公立宇出津総合病院は3人ずつ看護師を迎えた。

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