和倉温泉3カ月ぶり通水 旅館の配管修繕可能に

3カ月ぶりに全域が通水した七尾市和倉温泉。宿泊施設に水を引き込む配管の修繕が可能になった

  ●「復旧事業者に客室提供」 能登復興の拠点へ

 七尾市などは1日、能登半島地震で破損した市内水道管の復旧作業を終え、和倉温泉全域が3カ月ぶりに通水した。水道管が復活したことで、各宿泊施設に水を引き込む配管の修繕が可能となる。和倉温泉の旅館は建物の損傷が激しく、早期の営業再開は難しいものの、水を使用できれば復旧に携わる事業者に客室を提供しやすくなることから、関係者は「復興のスピードが上がる」と湯のまち再生に期待を込める。

 1日、和倉温泉の市道で作業を行っていた名古屋市上下水道局員や業者らが、水道管に漏水がなくなったことを確認した。これにより、県水道用水(県水)や地下水など自己水源の水道管は全て復旧し、市内全域に水が行き渡った。

 七尾市によると、水道管が元通りになったことで、各家庭や施設につながる配管に水を流せる環境が整った。その作業を通じて漏水の有無を確認後、損傷した箇所を修復すれば蛇口から水が出るようになる。

 和倉温泉観光協会の多田邦彦理事長(多田屋会長)によると、施設内のトイレやシャワーが使用できるようになっても、建物の修繕が終わらなければ客を受け入れるのは難しい。ただ、水回りが復旧すれば業者に部屋を貸しだすことができるとし、「和倉を能登復興の拠点とすることができ、温泉の復活にもつながる」という。

 和倉では現在、全22の旅館・ホテルが休業を余儀なくされており、これまで「おくだや」「美湾荘」「のと楽」が復旧業者への客室提供を始めた。「多田屋」など複数の旅館も、水道管の復旧を受けて5、6月ごろからの提供を目指す。

  ●延べ3800人応援

 七尾市内では元日の地震で、上水道を利用する約2万1千世帯で断水が発生。名古屋や富山、岐阜、新潟各県などの延べ約3800人が水道管の復旧作業を進めていた。

 市の担当者は、各家庭の配管復旧について「現状は修繕に当たる業者の作業が追い付いていない」とした上で「市内で活動する業者を増やしていく」とした。

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