水の安全保障戦略機構/持続可能な水道事業へ提言、上下水道一体の運営を

政官学民の有識者でつくる「水の安全保障戦略機構」(竹村公太郎代表理事)は、持続可能な水道事業に向けた提言書をまとめた。厚生労働省から国土交通省への水道行政の移管に当たり、上下水道一体の運営体制を提案。民間資本の導入といった維持管理体制の方向性も提示した。水道を管理する地方自治体の財源や職員が不足する中、新たな事業体制を検討する。
提言は「持続可能な水インフラ(基盤整備)への転換・再構築」検討委員会(座長・眞柄泰基全国簡易水道協会相談役)がまとめた。3月29日に都内で記者説明会を開き、公表した。
提言書は水道事業者の人手不足などを踏まえ、下水道と一体となる広域的な運営を提言。民営化ではなく、自治体と民間企業の新たな協力体制を検討する必要性を訴えた。
自治体の財政状況が厳しいことから、水道の公営事業としての在り方を再検討するよう提示。民間投資の活用を検討することも示した。職員不足に対応するため、地元の中小企業を含めた保守・点検体制も提案した。
地方支分局や自治体、利水関係者など「全員参加」型の流域会議や広域水利用圏会議の創設も提言した。河川管理者の国交省が水道行政も担うメリットを生かし、多くの利水者の課題を克服する機会を創出する。
河川の上流部に取水地点を設け、高低差を生かして水を運ぶ仕組みづくりも提唱。水を運搬するポンプの稼働に必要な電力を削減できるとした。

© 日刊建設工業新聞社