「性格が合わないと途中解雇も」元メジャーリーガー通訳が語る選手との“真の関係”水原氏に金を管理させていた“意味”

(写真・AP/アフロ)

大谷翔平の専属通訳を務めていた水原一平氏の違法賭博問題は、新たな局面を迎えようとしている。大谷の口座から違法なブックメーカー側に、少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金されたが、水原氏にはまだ返済されていない借金があると、米メディアが報じているのだ。

しかし、いくら水原氏が大谷からの信頼が厚かったとはいえ、巨額の資金を大谷の知らぬところで送金などできたのだろうか。元日本人メジャーリーガーの通訳であるA氏も驚きを隠せない。

「7億近いお金を賭博につぎ込んでいたこともそうですが、大谷選手のお金の管理を彼がしていたことに、いちばん驚きました。普通、選手と通訳を考えると、通訳が選手のお金を管理するなんてことは、考えられませんから。税金の問題などもあり、お金の管理は代理人、あるいは、その道のプロに任せることが常識。大谷選手はよほど、水原氏のことを信用していたのでしょう」

通訳の賭博問題というのも異例のことだったという。

「昔から、メジャーリーガーは若くして大金を得るので、お金の使い道を誤るケースは多々、ありますし、億単位のお金を稼いでいても、引退後に自己破産する元選手は多いんです。これは野球に限らず、米4大スポーツ(野球のほかアメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー)の元選手たちに顕著にみられ、社会問題にもなっています。

賭博に関しても、往年の名選手であるピート・ローズに代表されるように、追放、あるいは自己破産した選手はいます。ただ、通訳がこれだけの金額を使い込んでいた、という話は聞いたことがありませんね。前代未聞の出来事です」

そもそも選手は、通訳をどのようにして決めるのか。

「日本人選手が通訳を決めるためには、おもに3つの手段が考えられます。ひとつめは、球団が用意する。次は、代理人が用意する。そして最後は、選手個人が用意するというもの。大谷選手の場合は、自身で雇っていますね。個人的には、僕もそのほうがいいと思っています。というのも、もちろん通訳には、言葉を正確に伝える力量が問われますが、同時に、選手との相性も大事だからです。なにしろシーズン中は、選手と通訳は多くの時間を共有します。いくら言葉を訳すことに秀でていても、性格が合わないと、選手はストレスを感じてしまう。これまでにも、通訳としての実力はあっても、シーズン途中に性格が合わずに解雇されるケースは多くありました」

その通訳の年収だが、水原氏の年収は4500万円から7500万円という報道がある。

「これにも、たいへん驚かされました。この額は、メチャクチャ高い! 自分で通訳を選んだ場合、その選手の年俸が高ければ、通訳の給料も高くなるということはありました。でも、2000年代はせいぜい500万円程度。あれから時間も経ちましたし、年収は上がってきたといっても、現在でも800万円から1000万円が相場です。だからこそ、水原氏の年収はべらぼうに高い。通訳の地位向上のためにはいいことかもしれませんが、水原氏は普通では考えられないお金を得ていました。そのため、自由に使えるお金もあったでしょうし、その余裕から、結果的には今回の賭博問題につながってしまったのではないでしょうか」

現在、大谷には前田健太選手の元通訳であるウィル・アイアトン氏が“臨時”としてついているが……。

「今後はまた、自分で探すかもしれません。というのも、大谷は単に通訳だけでなく、キャッチボールやトレーニングの相手、グラウンドを離れた世話役なども、水谷氏に求めていましたから。ただ、最初に申したとおり、莫大なお金の管理を任せるほど信頼していたし、私生活でもつねに隣にいた水原氏の裏切りだっただけに、相当なショックを受けているはず。これがプレーに影響しなければいいんですが……」

大谷はここまで6試合に出場し、打率.269、打点2(日本時間4月1日現在)だが、もっとも期待されている本塁打は、まだ出ていない。

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