吉沢亮主演「PICU 小児集中治療室」での“しこちゃん先生”の成長ぶりは?「またちょっと駄目なところから始まります」

フジテレビ系で4月13日放送の土曜プレミアム「PICU 小児集中治療室 スペシャル2024」(午後9:00)の舞台あいさつと完成披露試写会が開催。主演の吉沢亮をはじめ、共演の安田顕生田絵梨花中尾明慶菅野莉央が出席。ドラマの見どころや撮影秘話を明かした。

「PICU 小児集中治療室」は、2022年10月期に「月9」枠でオンエアされた。北海道にある丘珠(おかだま)病院のPICU(小児専門の集中治療室)を舞台に、“しこちゃん先生”こと駆け出しの小児科医・志子田武四郎(吉沢)が幼い命を救うために奮闘しながら、医師として、人間として成長していく姿を描いたメディカル・ヒューマンドラマ。連ドラでは、大規模なPICUの運営は極めて困難とされる広大な北海道で、武四郎がPICU科長・植野元(安田顕)ら先輩医師と共に、どんな子どもでも受け入れられるPICUを作るため、そして、ドクタージェットの運用を実現するために奔走する姿が描かれた。引き続き今回のSPドラマも、脚本は倉光泰子氏が手掛け、演出を平野眞氏が務め、新しい命が芽吹く春の季節に“命の物語”を温かく繊細に紡いでいく。

中島みゆきの主題歌「倶(とも)に」が流れる中、MCの伊藤利尋アナウンサーに紹介されて、まずは安田、生田、中尾、菅野がステージに登壇。その後、伊藤アナの「せーの!」の声を合図に、集まったファンが「しこちゃん先生」と呼び掛けると、吉沢が会場後方から現れた。そして、「約1年ぶりにスペシャルドラマとして皆さまの前に戻ってくることができて、とてもうれしく思っております」とあいさつした。

続けて、安田も「続編ということで本当にうれしかったです。続編というものがそんなにないことですから、こうして同じキャストの方とまた役として会えるというのは、すごくうれしかったです」と喜び、生田は「久々の撮影だったので、入るまでは緊張していたんですけど、皆さんに会ったら懐かしい感じで、撮影はほっこりさせていただきました」と振り返った。

今回、後輩の指導にあたるしこちゃん先生について、吉沢は「先輩としてはあんまり優秀ではないです」と苦笑し、「連続ドラマから見ている人は、しこちゃん先生の駄目なところからの成長をいろいろ感じてもらったと思うんですけど、新たに先輩という要素が乗っかって、またちょっと駄目なところから始まります。ずっとかわいそうな男だなと思いながら演じていました」とコメント。

一方、安田は「しこちゃん先生は、先輩面しているわけではないし、威張ってもいない。自然体で若手と接するという感じですけど、このスペシャルドラマでは、新しい研修生のお二人がちょっと…。しこちゃん先生は優しく声かけをされていていましたよね。先輩として何か教えるというよりは、自分が学んできたことをそのまま素直に伝えるというのかな。だから、新入社員や初めての現場に来た時にこういう先輩だったら取っつきやすいな、という先輩になっていくんじゃないかな、という片鱗がうかがえしました」と説明。

また、高梨はしこちゃん先生のことを「成長してると思います」ときっぱり。加えて「私の演じる羽生仁子という看護師は、患者さんや親御さん、そして先生たちみんなのメンタルもケアしていく役なんですけど、今回のスペシャルで羽生仁子は、しこちゃんのことをある程度一人前として認めているんじゃないかなと感じました。最初の連ドラの時はちょっと助けてあげたり、見守ってあげたりする部分もあったのですが、今回は何をすることもなく見守っている感じでした」と、連ドラとの違いを明かした。

さらに、中尾は「しこちゃんの成長も描かれていますが…」と前置きして、自身が演じた救命医・東上宗介について「今回のスペシャルドラマで、あることがきっかけでおじさんが集まる会みたいなシーンがあるのですが、安田さんと甲本(雅裕)さんと(正名)僕蔵さんと僕なんですよ。台本を読んで、『え、僕はおじさんですか?』と思って。ずっとそれが引っかかっていたんです。僕、年齢的には、しこちゃん先生との方が近いんですよ。おじさんのメンバーは、みんな大先輩たちですけど、僕は吉沢くん年齢が近いのに、なぜかスペシャルになったらおじさん扱いされてると思って、ちょっとね…。だから、しこちゃん先生の成長というよりも『えっ、俺、そんな成長してんの?』みたいな。そこがすごく気になっちゃったっていうだけなんですけど…」と首をかしげつつ、「真面目な話をすると、しこちゃん先生はものすごく成長しているし、さらに人間味あふれて本当にすてきなドラマに仕上がっていたので、僕も見させていただいて感動しました」と仕切り直した。

撮影が終わっても納得いかない表情を浮かべる中尾だが、吉沢、安田、菅野が北海道ロケでおいしいご飯を食べた話になると、さらに不満が飛び出す。コロナ禍を経て、やっとみんなで食事に行かれたことを喜ぶ吉沢が「おすし屋さん…おいしかったですね」と安田に言うと「あれうまかったね~。ホント、おいしかった」とうなずき、それを見た中尾は「俺、湾岸スタジオで、肉吸いしか食ってないですよ!(笑)」とぼやいた。

今作でも連ドラから続く、武四郎、矢野悠太(高杉真宙)、河本舞(菅野)、涌井桃子(生田)の4人の幼なじみの関係は変わらない。そのことに関して、菅野は「すごくうらやましいなあと思いますね。こんなに少しも気を使わない関係性って、やっぱり信頼関係がないとできないと思うので、そういう存在が職場でもプライベートでもいるというのは、すごく心強いだろうなと思います」と語り、吉沢も「でも、この年まで永遠に仲がいいって、なかなかなレアケースというか、あんまりないじゃないですか。相当いい関係だなあ、と思いますよね。だから続いていってほしいなあと思います」と述べた。

今作で桃子は、子育て真っただ中。初めての母親役に、生田は「結婚、出産、子育て、どれも経験したことがなくて、桃子の人生がどんどん先にいってしまうので、どうしたらいいのかとか悩んでいましたが、同年代のお子さんがいらっしゃるスタッフさんに、どういう感じなのかとか、共感できることなどを教えてもらって、ちょっとでも近づけたらいいなと思ってやっていました」と苦労を明かした。

娘役の女の子がほとんど自由演技だったらしく、「予想外の動きとか、声を発して流れ通りにいかないこともありましたが、そこは一応ママとして何とか『今騒いじゃ駄目だよ』とか『今は静かにしようね』と、リアルにやらせてもらって子育てをちょっとだけ体験できた気持ちになって勉強になりました。すごいかわいくて楽しかったです」と、生田は優しい笑顔を見せた。

イベントでは、医療監修を務めた先生からの手紙も読み上げられた。

「繊細で器用な吉沢さんには、PICUの医者が行う最も難しい処置を1回教えただけでしっかりとやり遂げていただきました。安田さんは撮影現場でいつも私に『この時はどういう気持ちなんですか、何を思っているんですか』と尋ねて、涙を流しながら心からの演技に没入されていました。そして、キャスト・スタッフ全員の力で今回も素晴らしい作品に仕上がったと思います。ドラマには大きな大きな力があります。ドラマは新聞よりもニュースよりも多くの人に届きます。ドラマ『PICU』のおかげで、この4月より実際にドクタージェットを運行できるようになりました。成長していくしこちゃん先生に負けないように、現実の世界でももっとたくさんの子どもたちの命を救えるように頑張りたいと思います」というメッセージに、安田が「特に北海道は広いですから、ドクタージェットがあると、より子どもの命、患者さんの命が救われるんです。今回、実際にドクタージェットも運用されるようになったということで、定期的に使用できて、すぐそばにいてくれるドクタージェットになりますように。これはドラマの力だけじゃなく、皆さま一人一人の力ですので、ぜひよろしくお願いいたします」と、さらなるドクターヘリの活躍を願った。

吉沢も「実際にこういう活動をしていらっしゃる方々の覚悟に、われわれはもちろん何も敵わないです。でも、ドクタージェットが実際に動いたりするということは、どこかでこの作品もお力添えできているのかなと。そうであればうれしいですし、それだけでもやった意味があるなと思います。医師の格好いい姿だけじゃなく、抱えている葛藤だったり、手術して人を救っている人も同じ人間であるという部分も丁寧に描いているのがこの作品のよさだと思うので、いろんな人に見ていただきたいですね」と、あらためて作品の存在意義についても触れた。

最後に、吉沢が「この作品は医療ドラマなので、いろいろな悲しい出来事や感動する出来事が起きるのですが、それがどれもドラマチックに描かれずに、すごくリアルな日常として描かれる。登場人物たちの生活感みたいなものもこの作品の魅力なのかなと思っていて、それは連続ドラマに引き続くスペシャルでも色濃く描かれているので、そういう生活感のある温かさに触れていただければうれしいなと思います」と思いを伝え、イベントは終了した。

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