【マラソン】鈴木亜由子「あゆちゃんって今も頑張ってる?」 想像超える地元・豊橋での愛されっぷり

名古屋ウィメンズマラソンでは自己ベストながら、3位に終わった鈴木亜由子

【取材の裏側 現場ノート】マラソン女子で東京五輪代表の鈴木亜由子(32=日本郵政グループ)は、誰よりも地元に愛されるランナーだ。

愛知・豊橋市出身の鈴木は3月10日、パリ五輪切符を懸けた「名古屋ウィメンズマラソン」に出走。自己ベストの2時間21分33秒で3位に入ったが、代表切符を逃した。それでも、レース後には「他の場所だったら多分、そもそも挑戦していない。地元だから走りたいという思いが自分を突き動かした」と晴れやかな笑みを浮かべた。

沿道から「亜由子コール」が響くなど、多くの人が声援を送っていたように、25キロ過ぎで遅れても地元パワーが終盤の粘りを後押しした。温かいエールに対し、父・伸幸氏は「みなさんの声援が大きかった。そのおかげでもう一回、最後に力を出せた」と感慨深げに語った。

大一番から約2週間後の3月24日には、豊橋で行われた「鈴木亜由子杯 穂の国・豊橋ハーフマラソン」のスタートセレモニーに参加。ゲストのアイドルグループ「ももいろクローバーZ」とともに、会場を大いに盛り上げた。地元のために活動する鈴木の振る舞いに、恩師の夏目輝久氏は「本当に活気、熱気を感じた」と感謝を口にした。

鈴木は地元にとって特別な存在だ。各局は長年にわたって軌跡を特集し「あゆちゃん」をわが子のように紹介してきた。特に豊橋での認知度が高く、鈴木のレース時には豊橋出身の記者に「あゆちゃんって今も頑張ってる?」「鈴木亜由子さんって今も活躍している?」と毎回のように連絡が入るほどだ。

そんな鈴木に地元の印象を聞いたことがある。鈴木は熟考しながら「自分を育ててくれた場所だし、童心に返るというか、甘えさせてくれる場所というか、初心に返る場所だなと。甘えちゃいけないけど、純粋に頑張れる場所ですね」とにっこり。

今後については「ゼロの状態にして考えたい」と語るにとどめたが、地元の人々はこれからも「あゆちゃん」を優しい目で見守ってくれるに違いない。(五輪担当・中西崇太)

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