メルセデスF1、W15は温度が上がると競争力が下がったと認める「ベストな状態だったのは最も気温が低い時」

 メルセデスF1のテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンは、メルセデスがシーズン開幕からこれほど苦戦している理由を、チームによる恒例のレース報告のなかで率直に説明した。アリソンは、2024年型マシン『W15』は気温が上がったときよりも低いときに最高のパフォーマンスを発揮すると考えており、その問題の例として先週末のF1第3戦オーストラリアGPで起こったことを指摘している。

 オーストラリアGPの週末に見えたW15の現状について、アリソンは「FP3と予選の間にセットアップの変更はほとんどなかった。もちろん燃料も抜いて、エンジンを11まで上げるといったことをしている。でも、セットアップに大きな違いはなかったし、FP3ではまずまずのウインドウでマシンを走らせることができた。それはタイムシートにも反映されていた」と語った。

「しかしほとんどのレースウイークで、マシンによい感触があり、自信が持てる時間があるのに、結果が出るセッションである予選やレースでは、そうしたことが指の間をすり抜けてしまうというパターンが見え始めている」

「もしそのパターンを結びつけるとするなら、おそらく現時点で我々が取ることができる最も強い相関関係は、コースが暖かいとき、日中最も暖かいときに、タイヤの温度がコースの温度とともに上昇し、競争力が低下するということだ」

「我々がベストな状態だったのは、一番気温が低いときのセッションだ。そのことが、ここから先に進むために何をすべきかの手がかりになる。さっきも言ったように、メルボルンのFP3から予選まではセットアップの変更がないのに、スピードが落ちてしまった」

2024年F1第3戦オーストラリアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 アリソンは、オーストラリアGPの週末はチームに帯同せず、イギリスに留まっていた。

「他のみんなが寝ている間に、私は3晩目を覚ましていた。そして日曜日が来たが、それは非常に残念な日だった。しかし、これこそが我々のやっている仕事の本質なのだと、すぐに自分に言い聞かせるものだ。これはスポーツであり、スポーツはあらゆる方法で我々を試す」

「このような日は、自分が何者であるか、個人として、またチームとして何者であるかを知る日だ。私の考えでは、仕事に戻る準備を整え、同僚たちと落ち着きを取り戻し、それぞれがあの失望を経験するという個人的な旅をする。そうして回復し、ふたたび集中することになった」

「我々は何が起こったのかを認めている。我々は今いる場所から隠れることなく、受け入れようとしている。そして、なぜそうなってしまったのか、修正するために何ができるのか、次のレースに間に合うようにどうすれば解決できるのかということを理解していく」

 次戦の日本GPに向けて、アリソンは、現在チームはタイヤの温度を安定させることに取り組んでいると述べた。

「今は鈴鹿に向けたプログラムを確実に設計し、限られた時間のなかでそれを実行できるようにすることが重要だ。そして、タイヤ温度を安定させるのに十分な時間を確保するため、1ラップでのマシンに問題がないかをチェックするだけでなく、レースモードのような状態で温度が安定しているか確認できるプログラムを構築している。それが我々の行っていることの主眼だ」

「鈴鹿で少し持ち直すのを目にして正しい方向に進んでいることを確認し、スプリントレースがあるためにコースで使える時間がはるかに短い中国へ向かう際に、より多くの自信を持っていられるようにする。自分が正しい道を歩んでいること、また、我々が取り組んできたことが正しい方向に導いてくれているという確信を少しでも持とうとすると、これからのイベントでその道へとさらに激しくプッシュするための自信がつく」

2024年F1第3戦オーストラリアGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

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