【大学入試の難問】英語のことわざ「She is as busy as 〔  〕.」←空欄に入る“動物の名前”は?(ヒント:“b”usyに注目)【カリスマ講師・関正生氏が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

タイトルの「She is as busy as 〔 〕.」は、受験生でもよく間違える難問です。しかし、実は「熟語を丸暗記していないと解けない問題」ではありません。“ネイティブの発想法”を押さえていれば難なく正解を選べるのです。関正生氏の著書『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、「丸暗記なしの熟語習得法」を紹介します。

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「No cross, no crown.」―― proverb

「苦難なくして栄冠なし。」――ことわざ

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日本語は「言葉尻」で韻を踏み、英語は「頭」で韻を踏む

ドラえもんの道具で、食べるとどんな言葉でも通じるようになるものって? 「ほんやく……」続きを言ってください。ドラえもんっぽく!!

「ほ・ん・や・く・コ・ン・ニャ・クぅ~」

…気づきましたか? 韻(いん)を踏んでますよね? 「ほん【やく】コン【ニャク】」って(「ほんやくケーキ」や「ほんやくチーズ」では韻を踏みませんよね)。

さらに、歌の歌詞も言葉の最後でよく韻を踏みます。たとえば「俺の妄【想】、常に暴【走】」とか。

言葉の最後、つまり脚(あし)で韻を踏むから脚韻(きゃくいん)って言うんです。日本語は脚韻です。でも英語の場合は違うんです。英語では頭韻(とういん)がよく使われます。頭韻、つまり頭で韻を踏むのが英語の特徴です。

(*英語の場合、脚韻はカンタンにできるんですね。たとえば、「ション」って発音で終わる単語なんてたくさんありますよね。station、tension、passion、communication…もちろん英語に脚韻も存在しますが、日本人になじみのない頭で韻を踏む発想に注意してください。)

決まり文句は「頭韻」が決め手

大学入試からの問題です。受験生もよくミスする難問です。

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◆She is as busy as 〔 〕.「彼女は〔 〕のように忙しい」

①a bee ②an ant ③a cat ④a dog

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「ハチのように…かな?」「でも、アリとキリギリスの話だとアリが働くし…」「猫の手も借りたいって言うし…」

英語の特徴は頭韻でしたよね。この文でいちばん言いたいのは“busy”ってことですよね? “busy”と韻を踏むのは……

①a beeですね。

◆She is as [b]usy as a [b]ee.

こうやって“b”の部分だけ強く読んでみてください。ネイティブのようなキレイな抑揚ができます。

こういう熟語って「決まり文句」なんて言われちゃいますよね。でもこれ、「頭韻が決め手」ってことを知っておくとスッと頭に入ってくるはずです。頭韻が大事なので、bee 自体にさほどこだわりはありません。ビーバー(beaver)だって OKです(一生懸命ダムつくってますよね)。ホントに“as busy as a beaver”って言い方もあるんですよ。

でも、いくら一生懸命に手を洗っててもアライグマ(raccoon)じゃダメ、いくら必死に貝殻割っててもラッコ(sea otter)じゃダメなんです。頭韻になりませんからね。

beeでもbeaverでもOK なんですから、意味を考えるときはそれにこだわらないでください。「超忙しい」って意味なんです。

(*カッコよく訳すなら、英語でbeeって比喩〔ひゆ〕を使ってるんで、日本語でも比喩を使って「猫の手も借りたい」って訳せば完璧。日本語では猫、英語ではbeeになるんです。)

たくさんある「頭韻の熟語」

◆as green as〔 〕 「〔 〕のように未熟な」

最初の音は予想つきますよね? もちろんgです。ちなみに、greenは「未熟な」という意味です(若葉の色なので、若さや未熟さを暗示する単語なんです)。

…ということは、頭韻なので“g”で始まる単語が入るわけです。“g”で始まる“green”な単語って何でしょうか?

ヒントです。日本語では未熟なことを、何色で表現しますか?

「おまえはまだまだ……」

「青い」ですよね。「青い」とか「青二才」って言いますよね。では、ホントは緑色なのに、日本人が「青い」と言っちゃうものって何でしょう?

ひとつは「信号(signal/light)」ですね。でも“g”と韻は踏みません。「野菜(vegetable)」や「果物(fruit)」も「青い」って言いますが、やはり韻を踏まない。さあ残るは何でしょう?

「隣の〔 〕は青い」って言いますよね。そう、「芝」です。英語で言うと…、grass です。テニスでgrass courtと使われています。

◆as [g]reen as [g]rass 「芝のように未熟な」→「青二才/世間知らず」

“gr”で韻を踏んでいるんです。頭韻の例は、ほかにもたくさんあります。頭韻のところを強く読むとカッコよく聞こえますよ。

◆as [s]low as a [s]nail 「カタツムリのようにゆっくり」→「とても遅い」

◆as [s]mooth as [s]ilk 「シルクのようになめらか」→「とてもなめらか」

◆as [c]lear as [c]rystal 「水晶のように明らか」→「とても明白な」

◆as [p]roud as a [p]eacock 「クジャクのように自慢して」→「大いばりで」

記事冒頭のことわざも頭韻ですね。

◆[No cr]oss, [no cr]own.

cross は「キリストがかけられた十字架」、そこから「苦難」を表します。crownは「キリストの冠」、そこから「栄冠」って意味です。「苦労してはじめて栄冠が得られる」ということなんです。

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<まとめ>

英語は頭韻が特色!! 頭韻の熟語はいっぱいある!!

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関 正生

スタディサプリ講師

1975年東京生まれ。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。TOEIC L&Rテスト990点満点取得。リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」講師。スタディサプリでの有料受講者数は年間140万人以上。

著書は「世界一わかりやすい授業」シリーズ、「大学入試 関正生のプラチナルール」シリーズ(以上、KADOKAWA)など累計350万部突破。またNHKラジオ「基礎英語2」テキストでのコラム連載、英語雑誌『CNN ENGLISH EXPRESS』での記事執筆など多数。

オンライン英会話スクールhanaso(株式会社アンフープ)での教材監修、社会人向けの講演など、20年以上のキャリアで磨かれた「教えるプロ」として、英語を学習する全世代に強力な影響を与えている。

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