フラガール「愛届ける」 常磐興産入社式、避難先で運命の出合い

同期の4人と一緒にポーズを取る沢田さん(右から2人目)。「お客さまの心の中に花を咲かせたい」と意欲を語る

 県内の企業や官公庁などで入社式や入庁式が行われた1日、新社会人は希望を胸に人生の新たな一歩を踏み出した。「復興のために力になりたい」「お客さまに笑顔を届けたい」。新戦力はそれぞれが進んだ道で次なる夢の実現を誓った。

 常磐興産の入社式に臨んだ新人フラガール5人の中に、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い浪江町から郡山市に避難した沢田(さわた)梨花(りんか)さん(18)の姿があった。「震災がなければフラとは出合っていなかった。私にとってとても大切なフラを、これからも頑張っていきたい」。避難という逆境をチャンスに変えた沢田さんは強い決意を口にした。

 郡山で慣れない避難生活を送っていた5歳の頃、母に勧められてフラを習い始めた。すぐにその魅力に引き込まれると、いわき市のスパリゾートハワイアンズを訪れた際、フラガールに強い憧れを抱いたという。

 情熱は日に日に高まり、どんなに疲れていても練習は毎日続けた。「フラとの出合いで、私というものが完成したのだと思う」。昨年はあさか開成高で同好会の部長を務め、フラガールズ甲子園で最優秀賞に輝いた。

 今後、常磐音楽舞踊学院での厳しい練習が始まる。「フラガールになる」という夢をかなえた沢田さんは、次の夢に向けて新たなスタートラインに立った。「お客さまに愛を届け、お客さまからも愛されるすてきなフラガールになりたい」と目を輝かせた。

© 福島民友新聞株式会社