店頭に並ぶのは一年で2か月限定 赤い果肉のキウイフルーツ グリーンやイエローと何が違う?

赤い果肉のキウイルビーレッド(写真はイメージ)【写真:写真AC】

手軽に食べられることから、朝食にも人気のキウイフルーツ(キウイ)。主にグリーンとゴールドがありますが、春の短い期間に、赤い果肉のキウイも店頭で見かけることがあります。色によって栄養面の違いはあるのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

◇ ◇ ◇

ルビーレッドは春先限定のニュージーランド産キウイ

キウイの原産地は中国ですが、1900年初頭にニュージーランドに持ち込まれ、品種改良されて現在のキウイの原種が誕生したといわれています。ニュージーランドの国鳥「キーウィ(KIWI)」にちなみ、この名がつけられたそうです。

日本には1960年代半ばに輸入されるようになりました。現在、国内で販売されるキウイの多くはニュージーランド産ですが、11月頃から和歌山、福岡、愛媛の国産も出回り、キウイはほぼ通年、店頭に並ぶフルーツになっています。果肉が緑色の通称「グリーンキウイ」のほか、黄色い「ゴールドキウイ」が代表的ですが、近年は、果肉や果肉中心部が赤いキウイも見かけるようになりました。

とくに、ニュージーランドのゼスプリが20年かけて開発した「ルビーレッド」は、赤い果肉が特徴のキウイで、ベリーのような甘さが人気。ただし、グリーンやゴールドと異なり、4月から5月の限られた時期にしか店頭に並びません。

赤、黄、緑と色の違うキウイ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ビタミンCが豊富 色素成分のアントシアニンも

ルビーレッド、グリーン、ゴールドに栄養価の違いはあるのでしょうか。キウイの代表的な栄養成分について、100グラムあたりの主な成分データ(ゼスプリ インターナショナル調べ)をもとに比較してみましょう。

○エネルギー
ルビーレッド:59キロカロリー
グリーン:53キロカロリー
ゴールド:54キロカロリー

○食物繊維
ルビーレッド:1.8グラム
グリーン:2.3グラム
ゴールド:1.1グラム

○カリウム
ルビーレッド:338ミリグラム
グリーン:300ミリグラム
ゴールド:298ミリグラム

○ビタミンC
ルビーレッド:189ミリグラム
グリーン:88ミリグラム
ゴールド:152ミリグラム

○葉酸
ルビーレッド:69マイクログラム
グリーン:73マイクログラム
ゴールド:82マイクログラム

以上より、食物繊維はグリーン、葉酸はゴールドに最も多く含まれますが、ビタミンCやカリウムはルビーレッドに多く含まれていることがわかります。

とくにビタミンCの量は多く、キウイ1個を約100グラムとした場合、廃棄率15%として可食量が85グラム。ルビーレッド1個を食べると、160ミリグラムのビタミンCが摂れる計算になります。厚労省の日本人の食事摂取基準で、ビタミンCの推奨量は1日100ミリグラムとされているため、ルビーレッド2/3個で十分まかなえる量です。

このほか、ルビーレッドの代表的な成分に、ポリフェノールの一種アントシアニンが挙げられます。ブリ―ベリーに含まれることで知られていますが、イチゴやリンゴ、ブドウなどの赤や紫の色素成分であることでも有名です。抗酸化作用があり、活性酸素を減らすため、生活習慣病や老化防止に期待できます。とくに眼精疲労の回復など、目の健康に欠かせない栄養成分です。

キウイは、半分にカットすればそのままスプーンですくって手軽に食べられます。また、乳酸菌が豊富なヨーグルトとの相性もバッチリ。キウイに含まれる腸内の善玉菌を増やすオリゴ糖や食物繊維との相乗効果で、腸内環境を整えることが期待できます。腸内が整うと免疫機能も向上するため、健康的な体づくりにも役立つでしょう。慌ただしさが増す春の朝食にも、おすすめのフルーツです。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

© 株式会社Creative2