よりよい企業の成長のために採用プロセスをまるごと代行! マルゴト 今 啓亮さん

ローカルアントレプレナーを応援している「ロカプレ!」。

今回は、「採用代行事業」で全国で累計400社以上のベンチャー、スタートアップ、中小企業の採用を支援する、マルゴト株式会社の代表 今 啓亮(こん けいすけ)さんにお話を伺いました。

コロナ禍の2022年、本社を東京から札幌に移転し、13年ぶりに地元にUターン。

これがきっかけとなり、「北海道の中小企業が抱える採用課題」を解決したいと考えるようになったそうです。

時代とともに、採用のあり方も大きく変化する中、今さんが考える「より働きやすい職場について」も深堀してきました!

(取材日:2024年2月・インタビュー:濱内勇一、原くみこ・文:掛橋愛理)

ロカロウ20代で3回の起業を経験し、現在150名の社員を抱える北広島市出身の経営者、今さんにお話聞いたホーマルゴト株式会社 代表取締役 今 啓亮(こん けいすけ)
北海道北広島市出身。家庭教師の仲介サービスで北海道大学在学中に学生起業。26歳でカンボジアに移住し、人材紹介事業で二度目の起業を果たす。2年後に会社を譲渡し帰国。2015年 東京でマルゴト株式会社(旧株式会社ビーグローバル)を設立。月額制の採用代行サービスをフルリモートワークで提供。2022年 本社を札幌に移転。2023年9月 初の著書『本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』を出版。## 「採用代行」とは?

原:はじめに、マルゴト株式会社の事業内容である「採用代行」について教えていただけますか?

今:スタートアップやベンチャー、中小企業の採用において、人事や採用担当者が行う、面接以外の全てを代行する「まるごと人事」というサービスを提供しています。

原:面接以外、とは?

今:どんな人を採用するのか?という「ターゲット決め」、どの媒体に出したら応募者がより多く獲得できるかという「媒体選び」、「募集文のライティング」や「スカウト業務」、さらには応募者の面接の日程調整などです。

変わりつつある“仕事”への価値観

原:中途採用に関する業務の一部を支援しているのですね。中途採用のアウトソーシングというと、転職エージェントや人材紹介サービスの利用といったイメージがありますが、最近は「採用代行」も一般的なのでしょうか?

今:僕が創業した当初…2015年の時点では、「採用代行」という言葉そのものがなかった気がします。きっとかなり先駆けな感じですね。唯一あったのが新卒採用の代行でした。

原:なるほど、新卒採用の時期は業務が集中して忙しくなりそうですものね。

今:そうです、その期間だけアウトソーシングしたいというニーズはもともとありました。ただ、僕たちは「中途採用」に特化した即戦力となる人材の採用代行で、その面接以外の業務を全部やります!というのはほとんど聞いたことがなかったです。

原:なぜ「中途採用」に注目されたのですか?

今:「新卒で入った会社に、定年までずっといるぞ」と考えて就職活動をするのではなく、もう初めから“転職ありき”という考えの学生さんたちが増えてきています。それなら、企業も中途採用ありきでやらなきゃいけない、そこをお手伝いできたらと、この分野に参入することにしました。

強みは、140もの求人媒体を経験して得た膨大なデータ

原:転職活動をする人が増えているからか、今は求人の媒体も増えているように感じます。

今:そうなんです。なので、じつはその中からどの求人媒体を使って人材を探すかというのもポイントです。弊社ではクライアントの採用ターゲットに合わせて、これまで140ほどの媒体を使ってきました。

濱内:そんなにいっぱいあるんですね。

今:驚きますよね。紙媒体もWebもそれぞれに、エンジニア特化、業務委託中心など特色があります。弊社ではそれぞれの管理画面に入って、募集を出し、どんな求職者がいて、結果どうだったかというデータの蓄積があります。求人媒体の運用の仕方にもコツがあるので、目的に合わせて提案しています。

150名以上の全社員がフルリモートワークで働く環境

ロカロウここで、マルゴト株式会社の働き方について質問してみたよ!

原:社員の皆さんは全員がリモートワークなんですよね。いつからですか?

今:2015年に僕が1人で創業したときからずっとフルリモートです。当時は、「テレワーク」という言葉さえ使っている人がいなくて、「在宅勤務」などと言われていました。

起業当時は「在宅勤務で起業します」と周囲に話すと、意味不明な反応でした(苦笑)。

原:そして今はフルリモートで働く正社員の方が155名!

今:北は北海道音更町から、南は沖縄県の石垣島までいます(笑)。

フルリモートで働きたい!応募者は年間1万人超!

原:マルゴト株式会社には、年に1万人ほどの応募があるそうですね!

今:はい、おかげさまで、年間の応募者が1万人を超える状況が2年以上続いています。

原:人材不足でいい人が来ないと悩む企業も多い中、どうしてそんなに応募があると思いますか?

今:志望動機を聞いてみると、やっぱり一番大きいのは働き方で、「フルリモートワークかつ社員雇用」という環境に魅力を感じる方が多いようです。社員雇用なので、もちろん、有給・育休など福利厚生もあります。ちょうど今、育児休暇を取得中の社員も6人いますよ。

フルリモートというと、時短や業務委託の雇用形態かと思われがちですが、そうではなく、お給料もちゃんと入るし、評価もされるし研修もある。出社して働く人たちと同じような環境が用意できているのは大きいかなと思います。

▼マルゴト株式会社 採用情報

まるごと人事|月額制!ベンチャー企業向けの採用代行RECRUIT

TOP RECRUIT 採用ピッチ資料はこちら 職種紹介 LD(リーダー) 小林美希 インハウス人事よりも、感謝される?…

原:社員の皆さんと顔を合わせる機会はありますか?

今:リアルで会ったことがあるのはマネージャークラスの社員30人ぐらいだけです。

原:では直接会ったことのない社員の方もたくさんいるのですね。

今:そうですね、社員総会もオンラインで開催しています。全社員が一同に集まると交通費が大変なことになるので…。リアルに会うためにその費用をかけるなら、その分を社員に直接還元したほうが良いと考えています。

原:やはり皆さん、人事の経験者の方ばかりですか?

今:そうですね、人事や人材業界出身の方が多いです。人材業界が未経験という方もいますが、社会人として5年以上の経験があったり、リーダーや管理職をしていたという方が多く活躍しています。

5人1組の「ユニット制」で孤立を防ぐ

濱内:長年フルリモートワークの組織を運営してきた中で、やってみて良かったなという取り組みはありますか?

今:一番機能していると感じるのは、「ユニット制」です。5人1組のグループ単位で業務を進めています。リモートワークは、どうしても孤立するっていうリスクがあるんですよね。

濱内:わかります。

今:それを解消したくても、150人の社員にいつでも相談していいよといってもそれも難しい、規模が大きすぎて。それで、5人1一組のユニットに対してリーダーが1人いるという形をとっています。

原:実際、コミュニケーションなどはどうですか?

今:上手くいっています。5人の間に「同僚」という感覚がうまれるので、些細なことでも気軽にやりとりができています。

困ったときにも1人で抱え込まずに「これ、どうしてます?」とユニットの中で相談しあって解決できているようです。

この5人1組のユニットの中でリーダーとメンバーが週に1度、それぞれ1対1でミーティングもしています。そのおかげでそれぞれの状況を知ることができて、孤立を防ぐことができていると思います。

北海道にUターンして気づいたこと

原:2022年春に北海道札幌市に本社を移転されましたよね。今さんは北海道ご出身ということでUターンですが、周りに同じようにUターンされた方はいますか?

今:首都圏からUターンをして、こちらで働いている知り合いは何人かいます。ただ、札幌ではそれまでのキャリアを活かして収入を得られる職場、というのは少ないみたいで、みんなフリーランスで複数の仕事をしていますね。

それもいいとは思いますが、中にはフリーランスになりたかったわけじゃなく、仕方なくそうなった人もいます。せっかくの東京での経験が北海道の企業でも活かせたらいいのに、ともったいない感じがします。

原:そうした人たちを北海道の企業が中途採用で取り込めたら素敵ですよね!

濱内:はじめにも、「中途採用に特化した採用支援」というお話がありましたが、事業を伸ばすために、即戦力となる人たちを中途で採用するんですよっていうことですね。

今:おっしゃる通りです!

困っている企業に届けたい!1年がかりで書き上げた採用のノウハウ本

ロカロウ今さんの初の著書「『本当にほしい人材』が集まる中途採用の定石」も、北海道に戻ってきたことがきっかけで生まれたんだって~。

原:本を書くきっかけもUターンだったとか?

今:はい、東京の企業は採用について自分たちでも調べたりしているので結構最新事情に詳しいんですが、札幌に戻ってきて、経営者の方々からお話しを聞くと、採用についてわからないことだらけで相談されることが多くて、知識のギャップに驚きました。

毎回、1時間以上力説して採用についてアドバイスしまくっていたんですが、「いや、これは本にしてまとめたらどうだろう!」と思ったんです。札幌の会社が採用で困っているなら、きっと他の地方でもそうだろうなと。

原:出版社も決まる前から原稿を書き始めたと伺っています。

今:そうです!この経験やノウハウは、きっと世の中に必要だと確信して、出版社をどうするかより先に書き始めました。

半分近くまで書き進めて、そこから色んな人に「僕、本を出版するんですが、まだ出版社が決まってないんです」と言っていたら、運良く知り合いから出版社につないでもらうことができたんです。

編集者の方に話すと「いいですね。出しましょう!」と言ってもらえて、ほっとしました!

原:すごくいい展開でしたね。

今:はい。「採用したい人数はそんなに多くはないけど、良い人材に来てほしい」「自分たちで知識を得て採用を成功させたい」という中小企業の方たちにぜひ手に取ってもらいたいです。社会貢献活動のつもりで頑張って書きました。

原:中小企業の「採用の教科書」みたいな感じになると良いですね。

今:そうなれば嬉しいです。じつは出版までの1年間、平日1日4時間は執筆に使っていました。その時間を本業に費やしていたらもっとね、売り上げ伸びたんじゃないかとも思いながら、これ必要なんだよなと自分を奮い立たせて魂を込めて書きました。

お客様も社員も喜ぶ働き方を提供する

濱内:今から5年先ぐらいの会社の目標があれば教えて下さい。

今:そうですね、まずは社員を1,000人くらいまで増やしたいです。

濱内:北海道に本社を置く企業で、1,000人規模の従業員がいる会社はあまり多くはないですよね。社員を増やしたいのは、どうしてですか?

今、社員の85%が女性で、東京都に住んでいるのが全体の14%ほどなんですね。首都圏以外の地方に住む人たちがバリバリ活躍できる場所だったり、特に女性がライフステージの変化の影響を受けずに働き続けられる場所をもっともっと提供していきたいです。

原:素敵です!

今:マルゴト社でフルリモートで働きたい人はまだまだたくさんいるし、会社としても社員が増えることで採用に困っているお客様をもっと支援することができるようになります。両方の幸せをさらに増やしていきたいと考えています。

北海道のスタートアップ起業家へ

原:最後に、北海道で起業を目指す方や起業したばかりの方へメッセージをお願いします。

今:僕の好きな言葉があるんですが、それが「やりたいことをやっていきましょう!」なんですね!

北海道は今、北広島市の「北海道ボールパークFビレッジ」が開業したりして、すごく盛り上がりを感じていますが、一方で起業するプレイヤーはまだ少ないな、もっと挑戦する人がいてもいいのにと思っています。

ぜひ!自分のやりたいことの実現に向けて全力で挑戦していくローカルアントレプレナー、「ロカプレ!」仲間が増えたら嬉しいなって思っています!

まとめ

インタビューの様子をじっと見つめるロカロウ…

北海道札幌を本社とするこんなフルリモートの会社があるなんて…!

今さんは「採用代行」という概念自体がほとんどなかった頃、先駆けて事業を立ち上げ、2年連続で1万人の求職者が「ここで働きたい!」と全国から応募が殺到する人気の企業へと大きく成長させました。

今さんが思う、“お客様も社員もどちらも喜ぶ働き方”ができる職場が、この先北海道でもっともっと増えていくと良いと感じました!どんな企業でも目指していって良いのではないでしょうか。

取材協力

マルゴト株式会社 今 啓亮さん
住所:〒060-0061 北海道札幌市中央区南一条西十六丁目1番地323 春野ビル3F
https://marugotoinc.co.jp
https://twitter.com/konkeisuke
https://note.com/konkon4192今さん初の著書はこちら ▶ 「『本当にほしい人材』が集まる採用の定石」

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