花袋が愛用した道具類展示 田山花袋記念文学館(群馬・館林市)

花袋の愛用品や交友関係を示す資料が並ぶ会場

 田山花袋記念文学館の収蔵資料展「花袋先生の愛用品展」が5月26日まで、群馬県館林市の同館で開かれている。花袋(1871~1930年)が使った道具類を通して、当時の暮らしに思いをはせてほしいと、和歌や漢詩などの作品も含め計63点を紹介している。

 和服姿の花袋が東京・代々木の自宅で、書をしたためている写真とともに筆や墨、硯(すずり)を展示。うどんが好きで、自ら麺を打つのに使ったこね鉢、めん棒も並ぶ。近くには花袋の次男、瑞穂さんが、不器用な父にしては見事な包丁さばきだったと語った文章がパネルで掲示されている。

 旅するのに使ったトランクや、旅先で買い求めたぐい飲みのコレクション、火鉢といった生活道具、原稿用紙印刷用具なども陳列している。

 同じ自然主義文学の作家として親交の深かった島崎藤村(1872~1943年)のフランス留学を見送った際に詠んだ〈この春はゐなかのさとに一人いて波のうへ去る君をしのはむ〉と書かれた短冊、少年期の漢詩集「城沼四時雑詠」、瑞穂さんが書いた「父母のこと」などの原稿も訪れる人の目を引いている。

 展示担当の名越麻紀子さんは「花袋の和歌に関するエピソードや都内の自宅床の間の写真、写っている装飾品なども見てほしい」と話している。

 午前9時~午後5時。月曜(29日、5月6、13日を除く)と同7、14日は休館。高校生以上220円。問い合わせは市教委文化振興課(☎0276-74-4111)へ。

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