福島医大、初のエフレイ委託 AI活用、甲状腺検査...課題解決へ

 福島国際研究教育機構(エフレイ)と福島医大は1日、人工知能(AI)による画像分析技術や新たな検査法の開発により、甲状腺がんのリスク評価システムを構築する研究に着手すると発表した。研究を通じ、東京電力福島第1原発事故後に続けてきた甲状腺検査により明らかになった課題の解決を図る。同大としては、初めてのエフレイの委託研究となる。

 甲状腺検査を巡っては、治療する必要がない甲状腺がんを検査で見つけ、手術しているのではないかという「過剰診断」の可能性を指摘する声が出ている一方、リスクの高いがんが見つかる場合もある。こうした課題に対応するため、細胞診によって良性、悪性を診断する際にサンプルの残りを用いたり、超音波検査の画像をAIで分析したりして、リスク評価システムを構築。手術が必要かどうかの判断を診断時にできるようにするなどの成果を目指す。

 また甲状腺検査では、長期間の指導と多くの経験を要する検査者の育成も課題になっているため、AIの画像分析技術を用いて人材の育成にもつなげる。

 同大の志村浩己臨床検査医学講座教授が研究を担い、山梨大や長崎大と連携して最長7年間にわたり取り組む。

 研究28件着手

 エフレイは1日、福島医大の1件を含む28件の研究テーマに着手したと発表した。研究開発の外部委託件数は計47件となり、一気に2倍以上に増えた。

 エフレイは2023年度に重点5分野で27テーマの委託先を公募した。1日の発表で23テーマに着手したことになる。他にも公表の準備を進めているという。

 28件には福島大7件、福島高専3件、福島学院大1件など県内の研究教育機関も多数含まれている。全て契約は3月で「駆け込み」の形となった。

 エフレイの担当者は取材に「なるべく23年度中に着手できるよう契約を急いだ」と述べた。同年度の研究予算は126億円を計上し、多くを繰り越す見込み。

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