マネタリーベース、3月は1.6%増 昨年8月以来の低い伸び率

Takahiko Wada

[東京 2日 ロイター] - 日銀が2日に発表した3月のマネタリーベースの平均残高は、前年比1.6%増の666兆2400億円だった。残高が前月を上回る一方で、伸び率は前月の2.4%から縮小し昨年8月以来の低さとなった。前年同月に比べて国債買い入れが大幅に減ったことなどが要因。

内訳は、日銀当預が2.2%増の540兆4735億円。伸び率は前月の3.1%を下回った。3月の日銀の国債買い入れ額は5兆9289億円で、前年同月の11兆0949億円から46.6%減った。紙幣は0.8%減の121兆0364億円。前年比マイナスは4カ月連続。キャッシュレスの進展が背景とみられる。貨幣は1.8%減の4兆7301億円だった。

3月末のマネタリーベース残高は686兆7871億円で、前月の664兆5586億円を20兆円強上回った。年度末で公共事業や社会保障関連など財政関連の諸払いが増えた。マイナス金利解除観測が高まる中、貸出増加支援オペや共通担保オペの応札が増えたことも残高を押し上げた。

日銀は3月18―19日の金融政策決定会合で、マイナス金利解除など大規模金融緩和の修正を決定。金融政策の先行き指針も一新し、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比伸び率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大を続けるとした「オーバーシュート型コミットメント」は「要件を充足したものと判断する」として削除された。

マネタリーベースは、市中に出回っている現金と金融機関が日銀に預けている当座預金の合計値で、日銀が供給する通貨を表す。

(和田崇彦)

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