現物の不動産で投資をしようと思うと、それなりに初期コストがかかるもの。しかし、1万円など少額から気軽に不動産投資する方法があります。そこで本記事では、浅井佐知子不動産鑑定事務所代表の浅井佐知子氏による著書『0からわかる! 不動産投資超入門』(ソシム)から一部抜粋し、少額投資ができる“不動産投資信託”と“不動産投資クラウドファンディング”のしくみについて詳しく解説します。
登場人物
浅井佐知子先生…不動産鑑定士で不動産投資コンサルタントをしている、不動産のスペシャリスト。初心者にもわかりやすく、不動産投資について解説!(以下、浅井)
山田さん・会社員(30代)…株をやっているが仕事が忙しく、株価のチェックがおっくうに。不動産投資をはじめて、趣味に使うお金がほしいと考えている。(以下、山田)
鈴木さん・会社員(30代)…浅井先生の本を読んで、不動産投資に興味を持った。貯金が貯まってきたので、将来のために副収入がほしいと考えている。(以下、鈴木)
株として不動産を買う“不動産投資信託”
浅井:不動産投資には、現物不動産のほかに株として不動産を買う不動産投資信託という方法もあります。現物不動産よりも少ない資金で投資することができます。
鈴木:「株として不動産を買う」とは、どういうことですか?
浅井:証券取引所に上場している不動産投資法人(J-REIT(ジェイリート))に投資します。不動産投資法人が投資家から資金を集め、投資家のかわりにプロが運用するんです。
鈴木:どうやって利益を得るんですか?
浅井:出資した金額に応じて分配されます。キャピタルゲインを目的に、株のように売買することもできます。
山田:株と同じリスクがあるんですか?
浅井:その通りです。価格変動リスクや信用リスクなどがあります。ただ、運用はプロにおまかせで、空室や建物の管理について考える必要はありません。
[図表1]投資家から資金を集めてプロが運営する「J-REIT」のしくみ
J-REITの特徴
●特徴1:管理・運用が不要
投資家はJ-REITを選ぶのみ。実際にどんな不動産をどのように管理・運用するのかはJ-REITが決める。空室リスクなどを考える必要もない。
●すぐに売買できる
株と同様、証券会社を通じていつでもすぐに売買できる。現物不動産の場合は、法的な契約を行うので、売買手続きに数か月かかる。
●簡単にリスクを分散できる
J-REITでは、自動的に複数の不動産に投資することになる。1つの不動産から収入がなくなっても、ほかの不動産から収入を得ることができる。
●分配金を年2回もらう
J-REITの決算後、利益があったときに分配金をもらう。多くのJ-REITで年に2回の決算があるため、運用がうまくいっていれば、年に2回得られる。
不動産投資信託ならリスクを分散できる
鈴木:不動産投資信託だと、どんな不動産に投資することになるんですか?
浅井:投資家から集めた資金は、複数の不動産に分散投資されます。投資対象の不動産用途によって、主に単一用途型と複数用途型があります。どちらを選んでも、複数の不動産に分散して投資することができます。
山田:少額で複数の不動産に投資できるというのは、魅力的ですね。
浅井:J-REITを選ぶときは、投資している不動産の種類に注目します。[図表2]にあるように、「オフィスビル」「住居」「ホテル」「商業施設」「物流施設」「ヘルスケア」と、主に6つの種類があるので、将来性があると思うものを選ぶとよいでしょう。
鈴木:不動産投資信託は、どうやって購入するんですか?
浅井:証券会社から購入します。まずは、証券会社の口座を開設することからはじめましょう。
[図表2]J-REITの種類を選ぼう
1万円からOK! “不動産投資クラウドファンディング”
浅井:クラウドファンディングとして不動産に投資する方法もあります。最低投資金額は不動産によりますが、1万円くらいから購入することができます。不動産投資信託と同様に、投資家たちから資金を集めて、運用はプロが行います。
山田:不動産投資信託との違いはなんですか?
浅井:クラウドファンディングなので、募集期間があります。期間を過ぎると投資できず、資金が集まるまでは不動産の運用もはじまりません。また、運用期間中は基本的に投資資金を引き出すことはできません。
鈴木:不動産投資クラウドファンディングは、どのように購入するんですか?
浅井:販売・運用する専門の会社から購入します。基本的にスマホ1つで購入することができます。どんな不動産なのか、どんな運営会社なのかをきちんと確認して選びましょう。
[図表3]クラウドファンディングのしくみ
[図表4]クラウドファンディングの特徴
イラスト ©長野美里
浅井佐知子
不動産鑑定士/不動産投資コンサルタント
※本記事は『0からわかる! 不動産投資超入門』(ソシム)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。