未明の揺れ、岩手県内に緊張走る 沿岸部で震度5弱、津波なし

1階ステージのスポットライトが落下した九戸村体育センター=2日午前8時55分、同村伊保内

 2日午前4時24分ごろ、青森県と岩手県で震度5弱の地震があった。県内では宮古市、久慈市、普代村、野田村、軽米町で観測。気象庁によると、震源地は本県沿岸北部で、震源の深さは約71キロ。地震の規模はマグニチュード(M)6.0と推定される。津波はなかった。

 盛岡市、北上市、大船渡市など県内21市町村でも震度4を観測。建物の高層階をゆっくりと揺らす長周期地震動の階級2を沿岸北部で観測した。

 県は災害警戒本部を設置し、情報収集を進めている。九戸村伊保内の村体育センターでは、2階ギャラリーの窓ガラスが1枚割れ、1階ステージのスポットライトも3個落下した。安全確認のため、2日は臨時休館する。

 県教委によると、午前9時現在、久慈市と洋野町、九戸村の3小学校、2高校で窓ガラスのひび割れや体育館天井の一部落下、断水などの被害があった。

 久慈・宇部小は職員玄関窓のひび割れ、同・長内小は階段踊り場窓にひびが入った。洋野・中野小は断水。久慈東高は校舎エレベーターが停止。九戸村の伊保内高は外灯が破損し、体育館ステージの天井が一部落下した。

 久慈広域連合消防本部によると、久慈市の空き家の外壁の一部が剝がれるなどの被害が確認されている。県防災課によると、県内でけが人の情報は入っていない。

 JR盛岡支社によると、釜石、花輪、八戸、山田各線で計19本に運休や遅れが発生している。三陸鉄道リアス線は釜石―久慈駅間で運転を見合わせており、午前11時ごろの再開を見込む。県警高速隊によると、八戸道九戸―八戸北間は、地震発生から約2時間50分通行止めとなった。

 未明の強い揺れに、沿岸部では緊張が走った。宮古市津軽石の作家遠藤公男さん(91)は「ここ最近ないひどい揺れにびっくりした。急いで親戚の無事を電話で確認した。自宅の棚の物が少し落ちたくらいで済んで良かった」と胸をなで下ろした。

 総務省消防庁の全国瞬時警報システム(Jアラート)が予想最大震度5弱の緊急地震速報を出した。

 気象庁は、揺れの強かった地域では落石や崖崩れがあるとして注意を促している。約1週間は最大震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけている。

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