混戦の福山市議選、どうなる投票率 浮動票が当落左右、各陣営が注視 期日前を重視、呼びかけ活発

市役所本庁舎の期日前投票所で1票を投じる有権者たち

 7日投開票の広島県福山市議選を巡り、各陣営が投票率に注目している。38議席を56人が争う混戦となり、浮動票の行方が当落を左右する。新型コロナウイルス禍で戦後最低だった2020年の前回選の38・34%を上回るとの見方が強い。1日には期日前投票が始まり、早速1票を投じる有権者の姿も目立った。

 多くの陣営は40%台前半の投票率になると見通す。「コロナ禍で投票を控えた人が戻る」「交流サイト(SNS)の発信が活発で無関心層の掘り起こしが進む」など、挙げる理由はさまざまだ。

 無所属新人は「組織力では勝負できない。高い投票率は絶対条件」。新興勢力を含む与野党系の候補者が入り交じる構図で関心が高まり、08年以来の50%超を予想する声もある。

 一方「地域を回っても政治への熱が感じられない」と話すのは自民党系の現職。派閥の政治資金パーティー裏金事件が影を落とし、投票率は伸びないとみる。これに対し共産党の新人は「裏金を作って懐に入れるような政治を変えないといけない」と投票を促す。

 各陣営が重視するのが期日前投票だ。低迷する投票率と対照的に、利用は増加傾向にある。投票所が設置された市役所本庁舎の前ではこの日、新人が「手ぶらでも投票できる」とメリットを強調した。

 別の新人は期日前投票所のそばで個人演説会を開く予定。「演説の合間に投票へ行ってもらうよう呼びかける」と狙いを話す。ベテランの現職も演説会場を期日前投票所近くに確保した。

 期日前投票は6日まで市役所と8支所、沼隈体育館、加茂交流館で午前8時半~午後8時、フジグラン神辺で午前10時~午後8時、3、4日午前8時半~午後8時に山野ふれあいプラザ、5日午前10時~午後6時に福山市民病院で受け付ける。

 市役所で投票した作業療法士橋本由季さん(32)=赤坂町=は「議会の若返りが進んでほしい。子育て支援など、同世代の思いを分かってくれる議員に期待したい」と話した。

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