「運転手不足、仕方ないが…」 長崎市内バスがダイヤ大幅改正 通院や帰宅に影響…漏れるため息

撤去される大見崎のバス停を見詰める中山さん=長崎市見崎町

 長崎自動車(長崎県長崎市、長崎バス)と県交通局(同、県営バス)は1日、労働時間規制強化を機にダイヤを大幅改正した。路線を廃止された地域の住民は、運転手不足という事情を「仕方ない」と受け止めつつ代替策を求めている。市街地でも最終便の繰り上げに不満が漏れた。
 「困ったねぇ」。同市見崎町の末長國子さん(79)は、自宅前の停留所「大見崎」の標識がクレーン車で撤去されるのを見詰め、ため息をついた。
 国道を通る畝刈-相川の区間5.9キロが廃止された。平日12便あったが、1便当たり利用は1人以下。赤字の上、運転手が足りない会社の事情も「よく分かる」。けれど自身は数カ所に通院しており、これからは最も近い畝刈の病院ですらタクシーで片道1600円かかる。既に車の運転免許は更新せず、夫(86)も返納してしまった。
 「年金頼みの生活を切り詰めても苦しい。ちゃんと税金を払ってきたんだから助けてくれんかな」と行政の支援を待つ。居合わせた近くの飲食店経営、中山義春さん(74)も「タクシー会社に補助するなどして住民の足を確保してほしい」と訴える。
 午後9時過ぎ、「長崎駅前」では帰宅客が戸惑っていた。最終便が20分早まった男性公務員は「仕事を切り上げるのが大変」。宴会を抜けてきた男性会社員は「もっと飲みたかった」と嘆いた。

 長崎バスは過去最大規模の16区間(計23.4キロ)と32停留所を廃止した。併せて、県営バスと競合する4地区を一元化し、うち本原と目覚から撤退。これを含め平日6.4%、土日祝日5.6%減便したほか、1日おおむね50路線の最終便を最大45分、平均20分前後繰り上げた。県営バスも一元化を含め5区間(計5.8キロ)と15停留所を廃止し、平日3%、土日祝日8~9%を減便。7路線の最終便を最大3時間、平均13分程度繰り上げた。

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