児相通告最多1842人 茨城県警 「面前DV」6割超 昨年、150人増

児童虐待の疑いがあるとして、茨城県警が児童相談所などに通告した人数が増加しつつある。昨年1年間は前年比150人増の1842人で過去最多となった。増加はドメスティックバイオレンス(DV)の認知件数と連動する傾向があり、子どもの前で配偶者らを暴行したり罵倒したりする心理的虐待の一種「面前DV」の増加が背景にあるとみられる。

県警人身安全少年課によると、面前DVは暴力行為が子どもから見られる状況で行われていた場合に通告の対象となる。2015年は66件だったが20年には千件を超え、昨年は虐待全体の約67%を占める1228件に上った。

面前DVの原因となるDVそのものも増加。昨年は前年比22件増の2760件で、虐待と同様に過去最多となった。加害者と被害者の年齢は20~40代が多いという。

虐待通告のうち、虐待者は実母が47%、実父が43%。通告された児童は就学前の幼児が35%、小学生が34%、中学生が14%だった。摘発件数はここ10年間、23~66件で推移し、昨年は前年比13件増の51件。虐待の内訳は身体的38件、性的12件、心理的1件だった。

虐待が疑われる事案を巡っては18年以降、県や児相が把握した事案を県警に提供し、情報が共有される仕組みとなっている。昨年は2300件を超える情報提供があり、県警はうち85件について、生命や身体に重大な危害が及ぶ恐れがあったとしている。

また、学校の防犯講話などで相談窓口の周知を続けたことで、子ども自身が教員やスクールカウンセラー、児相などに相談するケースも増えているという。

県警は虐待やDVの増加について「コロナ禍以降、自宅にいる時間が長くなり、トラブルが増えているのかもしれない」と推測。このほか、社会的関心の高まりで市民からの通報も増えたとみている。

虐待防止については刑事事件になる前に警告を積極的に実施しており、相談や通報について「虐待と確証できないときでも、まず一度相談してほしい」と呼びかけている。

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