近代工法より伝統工法でしょ…台風で倒壊した都城島津邸の御門、匠の技で1年半ぶり復活

復元された御門の修繕内容について説明を受ける式典出席者=3月30日、都城市早鈴町

 2022年9月に台風14号の強風雨で倒壊した都城島津邸(宮崎県都城市早鈴町)の国登録有形文化財、御門(ごもん、1935年建築)の修繕工事が終わり、3月30日、完了式典があった。約30人が出席し、表玄関の復活を祝った。しっくい壁がはがれた外蔵(1872年建築)、石蔵(1930年建築)も修復された。

 修繕工事の設計監理に当たった上級文化財保存修理技術者、菅澤茂さん(70)=京都市=が3施設について、2009年に近代工法を用いて修繕されていたものを、それ以前の伝統工法で修繕し直したと説明した。

 御門は高さ3.8メートル、幅7メートル。継ぎ木などにより旧材の95%を再活用した。瓦は邸内に保管されていた、昔の小ぶりの瓦を愛知県の職人に焼いてもらい、屋根をふいた。倒壊につながった柱の腐食防止へ、門を支える6本の底に厚さ2.5センチの鉛板を挟み込んだほか、水はけも改善した。

 施工は、同市で社寺仏閣建築を手掛ける玄和技工が担当。菅澤さんは「伝統工法技術を地元で継承していく人材育成も図った」と述べた。

継ぎ木で修繕された本柱(左)と脇柱。白い部分が腐食防止のため挟まれた鉛板

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