福田知事、任期満了まで8カ月 去就、埋まる外堀 「多選の壁」明言は回避

出馬要請を受けた後援会総連合会の代表者会議後、支持者と握手を交わす福田知事(右)=3月30日午後、宇都宮市内

 栃木県の福田富一(ふくだとみかず)知事の5期目の任期が、間もなく満了まで8カ月となる。政財界から続投を望む声は根強く、30日には後援会総連合会が出馬を要請。外堀は埋まり環境が整ったように見えるが、知事は去就を明言していない。仮に6期目となれば、在任期間は全国の歴代知事の中でもトップクラス。多選への批判は免れず、福田知事自身にとってもかせとなっている。進退の判断時期を「1~2カ月後」とした知事。その間、政財界と意見交換を重ねるとみられる。

 30日午後、宇都宮市内のホテル。後援会総連合会の出馬要請が満場の拍手で決まると、知事は考え込むかのように膝頭へ視線を落とした。続くあいさつで最後にこう述べた。「(要請に対して)どういう回答になっても勘弁してください」

 知事が慎重な言葉を口にした一方で、周囲の期待は既に高い。「どうやら知事は腹を決めたようだ」。3月中旬には知事周辺にそんなうわさが、希望的観測として広がることもあった。

 続投か、引退か-。さまざまな臆測が飛び交うさまは、過去にもあった。

 権力の座に居続けると必ず腐敗するという意味の「権腐十年」を政治信条に掲げ2004年に初当選した知事は、3期目の任期満了直前から常に去就が念頭にあったとされる。ある会合で「次世代の育成をしたい」と発言したことが、「事実上の引退宣言ではないか」と駆け巡った。

 今の状況は、周囲から強く推された4、5期目の出馬時と同じ様相となっているが、異なる動きも見られる。

 「今後の栃木県を考えれば、多選は避けていただきたい」。後援会総連合会の代表者会合と日を同じくし、ある保守系の地方議員は交流サイト(SNS)の投稿で、公然と出馬要請の決定に異を唱えた。後継者不在の原因を福田知事に向け、批判する声もある。

 当選5回は県政史上唯一。全国の現役知事でも最も多く、5人しかいない。在任期間は現役で最長となっている。

 代表者会議後、福田知事は記者団に対し、出馬を決意するに当たっての課題を自らに言い聞かせるように語った。「多選、年齢、政治家としてのエネルギー。しっかり受け止めて乗り越えられる自信があるか」

© 株式会社下野新聞社