働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制の適用対象が1日から自動車運転業や建設業、医師などに拡大された。人手不足が深刻化し、物流の停滞など各サービスが低下する「2024年問題」として懸念が強まる中、青森県内では運送業者がトラック運送の経路を変更するなどの対応に着手。路線バスの減便といった影響も表れ始めた。
1日午前9時ごろ、七戸町の運送業者「中長運送」の運転手・佐々木隆文さん(68)が出勤してきた。従来よりも2時間ほど遅い始業。同社が24年問題の対策として、青森県と宮城県間の電化製品の運送で、帰りのみ使っていた高速道路を往復利用に変更したため、これまでより遅く出発することができるようになった。
一般道を使うと片道で約7時間かかる運送が4時間~4時間半ほどに短縮。運転手の拘束時間と運転時間が削減され、長時間労働の解消につながる。荷主と交渉して運賃を値上げし、高速道路使用料金の一部を負担してもらうという。
同社は野菜を首都圏に運ぶ長距離輸送でも、農協側が荷物をパレット(荷役台)に載せるなどの準備を配送時間までに完了する方向で調整中。残業規制の影響で長距離輸送の回数が減った場合、収益や運転手の給与水準を維持するには運賃のさらなる引き上げも必要になる。
中村健社長は「農産物の集荷場所の集約化を含め、働き方改革に向けてやるべき対策はたくさんある。徐々に進めていかなければならない」と話す。
建設業者も業務の見直しに着手している。青森市の丸美佐藤組は昼に施工管理を行い、夜に書類を作成する現場監督の残業削減に向け、現場監督の作業を支援する人員を昨年から試験的に配置している。
佐藤善一社長は「残業を減らす抜本的な解決方法は見つかっていない。規制に対応するため、社会保険労務士(社労士)とも相談していく」と語る。
バス事業者も慢性的な運転手不足と時間外労働の規制強化を受け、4月1日から路線バスの減便や縮小、廃止などのダイヤ改正を行った。