医師になるための学費は「何年で回収」できる?「医師の平均年収」はいくら?

医師になるまでに必要な費用は?

医学部がある大学は、国公立大学と私立大学の2つに分けられ、その学費にはかなり差があります。文部科学省によると、国公立大学の医学部を卒業するまでに必要な学費(入学金を含む)は、およそ350万円~360万円であることが分かりました。

一方、私立大学の医学部では大学によって大きく異なりますが、国公立大学の学費と比較して高くなります。私立大学医学部の学費は、およそ2000万円~4500万円と幅広いことが分かりました。国公立大学の10倍以上の費用が必要な大学も少なくないようです。

このほか、入学するまでには受験料や、予備校に通う場合の費用もかかります。また入学後は、通学のための交通費や、実家以外から通う場合は下宿・寮などの費用、教科書代や実習のための費用なども必要です。

医師の平均年収は?

医師は高収入を得られる職業の一つといえます。したがって、勤務形態などによって差があるものの、医学部で勉強するためにかかった学費は比較的早期に回収可能といえるでしょう。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータによると、従業員10人以上の医療機関において働く医師の平均年収はおよそ1278万円となっており、これは産業全体の平均と比較して約1.8倍の金額となります。勤続年数別の収入については以下の通りです。

表1

※e-Stat「令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」を基に筆者作成

医師になるには大学卒業後、最低でも2年間の研修が義務付けられています。研修医の期間の年収は、0年(1年目)と1年~4年に含まれると考えると、医師の平均年収には及ばないことが分かります。

医師になるための学費は何年で回収できる?

医師の平均年収である1278万円で計算すると、医学部の学費は国公立大学の場合で約0.3年(350万円で計算)、私立大学では約3.5年(4500万円で計算)で回収できる結果となりました。

しかし、研修医のうちは平均よりも収入は少なく、実際の手取り金額や生活費などを考慮すると、実際にはもう少し年数がかかるといえるでしょう。

医師になるための費用は、比較的早いうちに回収できる可能性が高い

医師になるための学費は決して安いものではありません。とくに国公立大学に比べて、私立大学の医学部の学費は高くなります。

しかし、医師は経験年数などによって将来的に高収入を得られる職業であるといえるため、長い目で見れば投資する価値があるといえます。医師として働き始めれば、比較的早期に必要な費用の回収は可能といえるでしょう。

出典

文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
政府統計の窓口e-Stat 令和4年 賃金構造基本統計調査
一般労働者 表番号10
一般労働者 表番号1

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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