奈良県天理市、公共施設と校舎を統合「学校3部制」導入

天理市

奈良県天理市は、2024年度(令和6年度)から「学校3部制」をすべての校区で全面的に導入すると発表した。少子高齢化に対応するため、学校に公共施設の機能を統合。学校現場の役割と責任を課業内の「1部」に限定することで、学校の働き方改革にもつなげるという。

「学校3部制」とは、従来の授業時間帯の教育を「1部」、学童保育やアフタースクールなど課業外の学びを「2部」、学校内での地域活動などを「3部」と位置づける考え方。東京都三鷹市が先行的に導入している。

天理市は、公共施設の老朽化と少子化という課題に対し、地域の学校を統廃合せずに守りながら、学校に公民館などの公共施設の機能をあわせた「地域連携型小規模校」として発展させていく「みんなの学校プロジェクト」を始動。2024年度からすべての校区で「学校3部制」を導入し、学校における働き方改革と地域連携の両立を図ることを表明した。

学校現場の役割と責任は「1部」に限定し、教員が課業内で子供たちに向き合うことに集中できる環境を整える。クラブ活動の地域移行は、奈良県が2026年度(令和8年度)から週末の移行を表明しており、実施後は「2部」に入ることになる。

それぞれの部は縦割りではなく、たとえば三鷹市では「3部」の子供食堂で朝食を取り、生活リズムを整えた子供たちがそのまま「1部」の授業に参加し、不登校対策につなぐ取組みが実施されているという。

「2部」と「3部」を学校内で実施するにあたり、学校施設の管理責任を学校現場から外すよう規定を改正。学校施設の管理責任は、教育委員会が集中して負う。2024年度には、教職員の守備範囲を「1部」に集中したうえで、「2部」「3部」を学校内で完全に実施するための地域連携型小規模校の建築構想を作成する。

2024年第1回市議会定例会で施政方針を表明した並河健市長は「少子化と厳しい財政事情のもと、一部校舎がまもなく60年の耐用年数を迎える山の辺小学校と柳本小学校を統廃合ではなく更新していくためには、周辺公民館などと機能を統合するほかない」と語った。

奥山直美

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