15件を国の文化財に登録へ 「岡﨑家住宅」(新宮)など、文化審議会

岡﨑家住宅の主屋外観

 国の文化審議会は、和歌山県新宮市高田の「岡﨑家住宅(旧栗須家住宅)」4件(主屋、蔵、納屋、石塀)など県内4カ所15件を、新たに国の登録有形文化財(建造物)にするよう文部科学大臣に答申した。登録されれば、県内の登録文化財は計132カ所357件になる。

 県内で今回、国の登録有形文化財にするよう答申されたのは「岡﨑家住宅」と「旧岩橋家住宅(事務所兼主屋、煉瓦=れんが=蔵、土蔵)」3件(海南市黒江)、「﨑山家住宅主屋」1件(広川町広)、「薗家住宅(主屋、人形蔵、離れ、西土蔵、東土蔵、南土蔵、片塀)」7件(御坊市薗)。

 岡﨑家住宅(旧栗須家住宅)は、新宮市中心部から西へ向かった山間の盆地に開かれた集落の高田にある。栗須家は高田の開祖と伝えられる家で、この住宅には1927年から岡﨑家が住む。屋敷地には、中央西寄りに主屋が東面して立ち、主屋の南側に納屋が、主屋と納屋の南東の一段高い位置に蔵が立つ。敷地外周は石塀が取り囲む。

 主屋は平屋、切り妻造り、瓦ぶきで江戸末期に建設された。内部は南側を土間とし、北側に6室がある。北東に位置する6畳の座敷は南側に広縁を設け、床差しの竿縁(さおぶち)天井など古式な造りとしている。主屋は、県南部における近世民家の数少ない事例の一つとして貴重という。

 旧岩橋家住宅は、漆器問屋が並ぶ黒江の川端通り沿いにあり、当地屈指の実業家で初代黒江町長も務めた岩橋新三郎によって建てられた住宅。現在は、飲食店として活用されている。事務所兼主屋は2階建て、入り母屋造り、瓦ぶきで1912年建設の大型町家。

 﨑山家住宅は、旧広村中心部の文化財が集中する地区にある、かつての商家の住宅。﨑山家は代々、塩の販売のほか、酒造業や石灰製造業、漁業、農業など広く事業をしていた。明治後期に建設された主屋は2階建て、入り母屋造り、瓦ぶきで東西に長い敷地の東端に立つ。

 薗家住宅は、かつて廻船業を営んだ商家の住宅。広大な屋敷地には、主屋をはじめ多くの歴史的建造物が立つ。敷地北辺には2階建ての離れ、西土蔵、東土蔵の3棟を並べ建て、東土蔵の東端から敷地東辺に向けてL字型に片塀で敷地を囲っている。

旧岩橋家住宅
﨑山家住宅
薗家住宅

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