クレカの不正利用が過去最悪の540.9億円 新たな手口「不正トラベル」とは?ふるさと納税もターゲットに

新生活を迎え、新たにクレジットカードを作る人も増える中で、クレジットカードの不正利用が急増しています。その背景には手口の巧妙化がありました。

【写真解説】クレカ不正利用の新たな手口「不正トラベル」とは?

「めざまし8」が取材したのは、去年の秋、クレジットカードを不正に利用されそうになったという女性。

会社員(20代):
5万ぐらいのものを買われそうになったらしくて、電話も来ました。今アメリカにいますか?ってきて。急にクレジットカード会社さんから電話がかかってきて、アメリカのほうで買い物されそうになったらしくて、怖いなと思いました。

――自分以外の友達も被害に遭ったことがありますか?
あります、あります。「200円ぐらいのやつ引かれていますけども」みたいな。それこそまた、「アメリカのコンビニにいますか?」みたいな。

別の女性は、明細書を見て気づいたものの、不正利用は1度ではなかったといいます。

会社員(30代):
明細見たら思っている以上にすごい引かれていて、メルカリかなんかで引かれていました。30万か50万ぐらい引かれていたのかな。何回も細かく引かれてました。
1万円とか数万円とかを何回も細かく引かれた。調査もしてくれてたけど、原因もわかんないし、何から情報漏洩したとかは、全然わからなかったです。

広がりをみせるクレジットカードの不正利用。
日本クレジット協会によると、去年のクレジットカード不正利用額は540.9億円と、前年度の436.7億円から23.9%増加。過去最悪となりました。

中でも多いのが「カード番号の盗用」。約11万の通販サイトと契約し、クレジットカードの不正利用を感知している会社に話を聞くと。

かっこ株式会社 小野瀬まいさん:
弊社で不正の可能性があるとして止めた金額も、去年1年間で約680億円ほどあるので。それを合わせても非常に大きい被害額になっているので。公式発表されている540億円っていうのは「やっぱりな」というような感想があります。
手口が巧妙化していて、一見するとただの注文なんだけれども、実は不正注文だったっていうのは増えていると思いますね。

さらに、新たな手口も。

株式会社かっこ 小野瀬まいさん:
一つはふるさと納税のサイトでの不正利用になります。もう一つが不正トラベルと呼ばれる旅行商品での不正注文になります。本当にいつ使われてもおかしくない状況になってしまっているので。

「不正トラベル」「ふるさと納税」での不正利用など新たな手口も

今までにも、botと呼ばれる自動作業プログラムを使用して、しらみつぶしに数字を打ち込みカード番号を特定する「クレジットマスター」という手口や、本物そっくりの偽のページを作り、クレジットカードの番号を打ち込ませるフィッシング詐欺などがありました。

さらに最近は、インバウンド需要の高まりにより、「不正トラベル」と呼ばれる手口も増加しているといいます。

その手口は、訪日する外国人を狙って偽サイトを作り、うその旅行予約を受付。宿泊などの申し込みを取り、代金を搾取します。さらに、不正に取得した第三者のカード情報を使って、申し込みを受けた外国人のホテルなどの予約をするというものです。
クレジットカードを不正利用された人も、偽サイトで申し込んだ外国人も面識がなく、詳細がわからないので、発覚しにくい手口となっています。

他にも新しい手口として、人気の「ふるさと納税」を悪用したものも…。

不正に入手したクレジットカード情報を使用して、ふるさと納税の申し込みを行い、自治体から返礼品をだまし取り転売、現金化するという手口です。
クレジットカードの持ち主の知らないところで、勝手に申し込みを行い、配送場所も変更しているため、被害に気づくことが難しいとされています。

不正利用を防ぐためには?

手口が巧妙化する中で、不正利用を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?
詐欺・悪質商法ジャーナリストの多田文明氏によると、以下のことを心掛けることが大切だといいます。

詐欺・悪質商法ジャーナリスト 多田文明氏:
botをつかってとにかくランダムに次々数字を打っていくので、ショッピングサイトなどに。その中で使えるカードを引っ張り出すと。
この手口においては、消費者側としてはまず防ぎようがないというところですね。一番怖いのは、1度も使ったことのない“眠っているカード”だから大丈夫というわけではなく、1度も使ったことがないのに使われていると。ですから、眠っているカードがあればすぐに利用明細などを確認した方がよいですね。

・常に利用履歴を確認して身に覚えのない購入履歴がないか確認することが大事。
(※不正利用で購入される事が多い化粧品、医薬品、健康食品、チケット、家電製品などが特に注意)

・少額の不正利用が何回も行われていることも多いので、少額でも注意が必要。

・自分が使用しているクレジット会社やショッピングサイトからメールが来ても、メールのリンクからクリックせず、正規サイトからログインして確認する。

・クレジットカードはむやみに作らず3、4枚など自分が管理できる枚数にする。

また、不正利用が発覚した際は、すぐにカード会社に連絡してカードを止めることも大切です。カード会社によっては60日など一定の期間がすぎると返金されないケースもあるため、事前に自分のカードの利用規約をチェックしておきましょう。

詐欺・悪質商法ジャーナリスト 多田文明氏:
基本的にはやはり、まず個人のセキュリティー意識を高めるということ。不信なメールが来てもアクセスしないと。そして、クレジットカード番号はもう盗まれていると思ってください。盗まれていると思って利用明細を毎回見ると。

(『めざまし8』 2024年4月1日放送より)

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