中国の水稲専門家、フィジーのコメ自給プログラムを支援

中国の水稲専門家、フィジーのコメ自給プログラムを支援

 【新華社スバ4月2日】フィジーは3月、雨季を迎えた。中国人専門家の陳華早(ちん・かそう)氏は数日続いた豪雨後、耕地に駆けつけて水稲の状況を調べた。フィジーなどの太平洋島しょ国では、農作物が豪雨や台風、洪水などの自然災害による被害を受けやすい。「それでも、私たちは良質な稲種と先進的な農業技術を採用し、科学的な農業管理を結びつけることで、稲作農家の高収量実現を支援できる」と述べた。

 中国のハイブリッド稲を植えた別の試験田では、育種専門家の呉明奎(ご・めいけい)氏が収獲と収量測定を行っている。ハイブリッド稲の生産量は1ヘクタール当たり7トン以上となる見通しで、現地の水稲品種の2~3倍に相当するという。

 フィジー政府はここ数年、食糧安全保障のため、コメの自給自足に力をいれてきたが、コメ産業は耕作方式や労働力不足、気候変動などの課題を抱える。農業・水路省のテキニ・ナキダキダ農業開発担当次官は、コメの生産量は需要の20%未満で、80%以上は輸入に依存していると指摘。「政府がコメ産業振興計画を打ち出したのはこのためで、私たちは中国とさらに多くの協力を展開する必要がある」と打ち明けた。

 中国は2015年から、農業援助プロジェクトを3回実施している。技術訓練、新品種の導入、標準化された耕地の建設、高収量栽培技術の普及などを通じ、水稲生産量を引き上げてきた。陳氏をリーダーとする6人の専門家チームが23年7月にフィジーに到着し、第3回プロジェクトがスタートした。

 中国専門家チームは過去2回のプロジェクトで、現地の5品種を改良し、16品種を導入したほか、農民2500人以上に高収量栽培技術訓練を行い、農業設備を寄付して栽培の機械化を支援した。第3回では26品種を導入し、10品種を改良する予定という。農業モデル拠点も6カ所新設し、農家の高収量生産を指導する。

 労働力不足はフィジー農業の大きな課題である。同国政府は、多くの若者が稲作に従事するための奨励策を相次いで打ち出すとともに、中国の先進的な農業技術が若者の実践に役立つよう期待している。陳氏によると、中国専門家チームはナブソ農業専門訓練学校にモデル拠点を構え、実用的な水稲栽培技術を指導している。

 農業専門家であるナキダキダ氏は、中国農業専門家チームの技術援助を受け、フィジーの水稲生産量が増加したと振り返り、「中国チームのフィジー農業への貢献は誰もが認めるところだ」と述べた。(記者/郭鑫恵)

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