ブリヂストン、新たな月面探査車用タイヤを開発。Space Symposiumで新コンセプトモデルを初展示

そのコンセプトモデルを、2024年4月8日(月)から11日(木)まで米国・コロラドスプリングス市で開催される米国最大の宇宙関連シンポジウム「第39回 Space Symposium」のJAXAが運営する日本パビリオンJapan's Space Industryの同社ブース内(Northrop Grumman Exhibit Center-South Hall #111)にて、初めて展示する。

ブリヂストンは、「タイヤは生命を乗せている」の大原則に沿って、2019年より月面探査車用タイヤの研究開発に取り組んでいる。世界の道を知り、地球のあらゆるモビリティの進化を支えてきたブリヂストンが、次のステージとして宇宙の道へ挑むことでスペースモビリティの進化を足元から支えていくとしている。

モビリティの進化を支え続けるブリヂストンの技術イノベーションは、これまでモータースポーツなどの「極限」の環境において磨かれてきたという。同プロジェクトを通じて、月面という人類が活動する新たな「極限」の環境に挑戦することで、モビリティの未来になくてはならない存在となることを目指していく方針だ。

ブリヂストンの月面探査車用タイヤは、第1世代において砂漠で荷物を悠々と運ぶラクダのふっくらとした足裏から着想を得ている。金属製の柔らかいフエルトをタイヤのトレッド部にあたる接地面に配置することで、月面を覆うレゴリスと呼ばれるきめ細かい砂との間の摩擦力を高めより優れた走破性を実現する、同社独自の技術が採用された。

この技術を進化させつつ、今回開発した第2世代となる新たなタイヤでは、これまでの研究開発を通じて分かってきた月面を走るモビリティに求められる、より厳しい走破性と耐久性に対応するため新たな骨格構造を適用した。新構造では、空気充填が要らない次世代タイヤ「エアフリー」で培ってきた技術を活かして新たに薄い金属製スポークを採用し、トレッド部を回転方向に分割している。

これにより、岩や砂に覆われ真空状態で激しい温度変化や放射線にさらされる極限の月面環境下においても、走破性と耐久性の高次元での両立を目指す。また、リアルとデジタル技術の進化により金属製スポークの形状や厚みを構造シミュレーションで最適化した。しなやかに変形しながらも金属製スポークの局所的なひずみを最小化して、耐久性を高めつつ、分割したトレッド部により接地面積を大きくしてタイヤを沈み込みにくくすることで、走破性もさらに向上させているという。これらの「接地を極める」技術を基盤として、月面を走るモビリティの安心・安全な移動と人類の挑戦を足元から支える。

月面探査車用タイヤプロジェクトは、ブリヂストンが中期事業計画(2024-2026)で探索事業として位置付けている「エアフリー」の活用を地球から宇宙・月面へ拡大した取り組みだという。将来的には月面という「極限」の環境で磨く技術を、地球上で使うタイヤにも還元し、さらなる価値創造へ繫げていく。

また、同プロジェクトを通じ、ブリヂストンの新たな「自ら極限へ挑戦する姿」をパートナーへ示すことで、同社の取り組みに共感いただき、宇宙ビジネスのネットワーク拡大および国内外の様々なパートナーとの共創機会創出へ繋げていくことを目指すという。

ブリヂストンは、月面探査車用タイヤプロジェクトを通じて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Extension 人とモノの移動を止めず、さらにその革新を支えていくこと」にコミットしていくとしている。

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