マンガ大賞2024は「君と宇宙を歩くために」 泥ノ田犬彦さん〝自作犬マスク〟で授賞式に

顔出しNGの泥ノ田犬彦さんは犬マスクをかぶって喜びを語った

書店員をメインに各界の漫画好きが選ぶ「マンガ大賞 2024」授賞式が都内で2日あり、泥ノ田犬彦さん(年齢非公表)の「君と宇宙を歩くために」が大賞に決まった。

平成の高校を舞台に、生きづらさを抱えるヤンキーと変わり者の転校生が、壁にぶつかりながらも楽しく生きるため奮闘する友情物語。泥ノ田さんは壇上で今の心境をこう話した。

「いろんな人に怒られたらどうしようっていう気持ちのほうが強かったので、まさかこんな賞をいただけるなんてホントに想像もしてなかったというか、本当に考えたこともなかったので、うれしいって喜んでいいのかなって複雑な気持ちで、まだ実感のないまま描かせていただいてるのが本音です」

男っぽい名前だが、泥ノ田さんは女性だ。「もうちょっとシュッとした名前でペンネームを考えようと思ってた」そうだが、漫画を全然描かなかった時期からまた気持ちを込めて描こうと思った時、「名前でカッコつけてる自分がすごく恥ずかしくなっちゃって…」。漫画を描いている時の自分の気持ちは「ホントにこう、泥の中を犬が〝ウァ~、あ~ヤバい〟ってやってるイメージだなぁ」と思い、それをそのままペンネームにしたという。

ペンネームになぞられ、黒い犬のマスクをつけ登壇。顔は見せたくないが、「全部隠したりとか登壇しないっていうのも、せっかく賞をいただいたのに申し訳ないな」と思い、〝顔出しNG〟だった過去の大賞受賞者をまねたそう。「Amazonで買って、上に布を張って作りました。低予算仮面ですけど」。漫画だけでなく「なんか突発的に、こういう立体物を作りたくなる癖があって…」とのことだ。

選考方法は、昨年発売された最大巻数8巻までの257作品を対象に、まず選考員101人が最大5作品選び投票し、得票数トップ10をノミネート。この10作品を選考員98人が読みトップ3を選び、最もポイントの多かったのが「君と宇宙を――」だ。

マンガ大賞は、今年で17年目。過去の大賞作品には「葬送のフリーレン」「ゴールデンカムイ」「海街diary」「テルマエ・ロマエ」「ちはやふる」などアニメ、実写映画化された漫画も多い。

© 株式会社東京スポーツ新聞社