「未来の都市」で都市遺跡8カ所発見 河北省雄安新区

「未来の都市」で都市遺跡8カ所発見 河北省雄安新区

3月27日、雄安新区雄県の雄州古城遺跡に残る城壁。(雄安=新華社記者/牟宇)

 【新華社石家荘4月2日】中国で「未来の都市」として大規模建設の進む河北省雄安新区ではこれまでに、8カ所の都市遺跡が見つかっている。遺跡からは大量の遺物も出土し、数千年にわたって文化が連綿と継承されてきたことが明らかとなった。

 雄安新区は2017年4月1日に設置され、翌5月に河北省文物考古研究院雄安新区文物保護・考古作業所が発足。考古作業チームが事前調査を直ちにスタートし、1770平方キロに及ぶ全域でグリッド方式による遺物調査や試掘調査を実施した。

「未来の都市」で都市遺跡8カ所発見 河北省雄安新区

3月26日、雄安新区の南陽遺跡の発掘現場。(小型無人機から、雄安=新華社記者/牟宇)

 試掘面積は682万平方メートル、発掘面積は2万平方メートル余りで、出土品は4千点以上。不動産文化財263カ所が確認され、そのうち都市遺跡は南陽遺跡、古賢遺跡、城子遺跡、雄州古城遺跡、安州古城遺跡、新安古城遺跡、鄚州城遺跡、古州城遺跡の8カ所を数える。

 同考古研究院のチームは、雄安新区容城県にある春秋戦国時代の南陽遺跡とその周辺で考古調査を行い、同遺跡などを中核とする大南陽遺跡群を発見した。約18平方キロにわたって広がり、年代は新石器時代後期から宋金時代までの3千年近くに及ぶ。

 発掘調査を通して、南陽遺跡の主な文化は東周から漢代にかけての燕文化であることがおおむね確認された。雄安新区で見つかった都市遺跡のうち最も古い戦国時代の都市遺跡2カ所も南陽遺跡で見つかっている。

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3月26日、南陽遺跡の出土品を整理する雄安新区文物保護・考古作業所の責任者、雷建紅氏。(雄安=新華社記者/牟宇)

 考古作業所の責任者、雷建紅(らい・けんこう)氏は、南陽遺跡の考古学的発見が雄安新区の都市考古学の幕を開いたと強調。新石器時代後期から宋金時代にかけての歴史的変遷を探ることで、この地を貫く燕文化の内包するものが明らかになるとした。

 雄安新区の「雄安」は雄県と安新県の両県から一字ずつ取って付けられた。雄県の「雄」は雄州古城、安新県の「安」は安州古城を起源としている。

 雄州古城遺跡は雄県の県城(県政府所在地)にある。試掘調査の結果、古城の北と南にはそれぞれ、れんが造りの壮大な城楼があったことが分かった。城楼は残っていないが、城壁の一部が残っている。

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3月26日、南陽遺跡の出土品を整理する雄安新区文物保護・考古作業所の責任者、雷建紅氏。(雄安=新華社記者/牟宇)

 安州古城遺跡は安新県の安州鎮にあり、高さ1.5~2メートル、長さ2~3キロに及ぶ城壁が残っている。もともとは宋代に遼からの攻撃を防ぐために築かれた土城で、明代にれんが造りに補強され、清代に再建された。

 大規模開発が進む「未来の都市」は遺跡の保存のために文字通り「道を譲って」いる。先行開発エリアを走る道路「海岳大街」は当初、南陽遺跡の保護範囲と建設制限地帯を通る計画だったが、文化財部門の意見により、遺跡を完全に回避する形に路線設計が調整された。

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