石川祐希、プレーオフ準決勝は黒星発進も「切り替える」と第2戦へ意欲! 同僚アルゼンチン代表も過密日程を払拭する闘志を強調【現地取材】

バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガでいよいよ始まったプレーオフ準決勝。日本代表の主将・石川祐希が所属するアリアンツ・ミラノは、日本時間4月1日に行なわれたシル スーサ ヴィム・ペルージャとの第1戦をセットカウント1-3で終え、黒星でスタートを切った。

その試合が終了したばかりのコートで、石川がインタビューに応じてくれた。

準々決勝の最終戦からわずか中3日で初戦を迎えたミラノ。限られた時間でどんな準備をしてこの第1戦へ臨んだのか問うと、「向こうはサーブが良いことは分かっているので、それに対応していこうということでした」と回答。続けて、「入りは意識していたのですが、第1セットはそこがあまり良くなくて…、僕たちのレセプション、それからサービスがあまり機能していなかった。3セット目以降に関しては、少し機能するようになってきたと思いますけど、セット後半に抜け出されたところも全部相手のサーブで…。サービスエースを取られたりだったので、そこは修正したいと思います」と硬い表情で、思い反する形で終えた戦いを振り返り、必要な改善点に言及した。

ブロックからトランジションへ持ち込むミラノの真骨頂が影を潜めた試合前半については、「ブロックは振られたというよりミラノのシステムなので、そこは仕方ない部分もありますし、もうちょっと状況対応の部分でディフェンスを効果的にすることができると思います」とコメント。心なしか言葉少なげではあったものの、控える2戦目へすでに頭は整理されているようだ。

そして、チームメートの一人、第3セットに逆転の起点となったサーブで、チーム最多となるエース3本を記録したミドルブロッカーのアルゼンチン代表アグスティン・ロセルもイタリア語で試合を振り返ってくれた。

「難しい試合だった。序盤のミラノは持てる力を出せなかった。ペルージャのサーブがとても好調だったことが要因の一つだったと思う。そして、僕らは1セットを奪い返したけれど、勝利には届かなかった。このレベルの舞台では、ほんの些細なことが違いを生む。今日は相手がより良いプレーをした。それに尽きると思う」
準々決勝を3連勝で突破したペルージャは、休養を含め準備に2週間を充てて準決勝を迎えた。その一方で、ミラノは5戦を戦い抜いて4強入りを果たしてから3日後の試合前日、およそ5時間を費やしてこのアウェー戦の地へ移動して来た。
前出のロセルに「疲労がチームのパフォーマンスに影響を与えたか?」と尋ねると、東京五輪の銅メダリストは、「その影響はなかったと思う。ペルージャは、試合をせずに済んで練習をする14日間を過ごした。準々決勝を5試合戦った僕らより準備に時間をかけることができたのは確か。けれど、準決勝へのモチベーションは、疲労さえも吹き飛ばしてしまう。疲れを感じることがないとは言わないが、それが今日の敗戦の理由ではないと思う。ほんの小さなことが勝敗を分けたと感じている」と過密日程さえも払拭するミラノの闘志を強調した。

1セットを取り返した後の第4セットは、最大3点に開いた劣勢を終盤に盛り返して22-23まで粘った。直前のセットを終始リードしながらストレート勝利目前でカウンターパンチを食らったペルージャは、気が気でなかったはず。白星を譲ったミラノだが、好転を見せて試合を終えたことは次戦へつながるに違いない。

「まずは切り替えて、サーブとレセプション、ブロックディフェンスの関係を修正して臨みます」と語る石川は、中2日で迎える第2戦(日本時間4月4日午前3時30分開始予定)にホームで挑む。

自身のキャリアと4シーズン目を過ごすクラブの歴史に新なページを刻むための戦いは、始まったばかり。本拠地の観客を熱狂させる背番号14の活躍でミラノが勝利を掴み取り、決勝へまた一歩近づくことを大いに期待したい。

現地取材●佳子S.バディアーリ

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