「カブス史上最も記憶に残るデビュー戦」MLB公式記者が今永昇太に驚愕!「普通のルーキーじゃない」指揮官や同僚も驚き隠せず「調整能力が一流」

シカゴ・カブスの今永昇太がMLBデビュー戦で快投を見せた。本拠地リグリー・フィールドでの今季初戦でマウンドに上がった今永は、6回92球、打者21人に対して被安打2、奪三振9、四死球0。コロラド・ロッキーズを無失点に抑え込み、MLB初登板で初勝利を挙げた。

衝撃の好投は、「普通のルーキーではない。カブスの今永は、MLBデビュー戦で9奪三振。2安打を許したが、ノーノー投球に近かった」と、『MLB.com』公式のジョーダン・バスティアン記者を唸らせた。「マウンドから飛び降りた今永は、ノースサイドの大歓声のなかで雄叫びを上げた。カブス史上最も記憶に残るデビュー戦のひとつだ」。

「雄叫びを上げていたが、なんと叫んでいた?」と試合後に米メディアから質問を受けた今永は、「何て叫んだのか覚えていない。でも、その後、“レッツゴー!”と言いました。だから、少しは米国の文化に馴染んできたと思う」と切り返した。

今永は6回の2死から連続安打を許したが、それまでノーノー投球を披露。バスティアン記者によると、少なくとも過去50年で、カブスの投手がデビュー戦で5回2/3を無安打に抑えたのは、1996年5月16日のアマウリー・テレマコに並ぶ球団記録のようだ。またMLBデビュー戦で相手打者から奪った20の空振りは、2008年以降で3番目の記録だという。

「4年総額5300万ドル(約77億円)の契約に署名した1月の入団会見で、勝利の歌“Go Cubs, Go”を口にし、カブスのワールドシリーズMVP、ベン・ゾブリストに敬意を表して背番号18を選んだ今永は、初日からファンを魅了。春季キャンプでは、必要な場面以外は通訳を介さずに英語を駆使し、チームメイトの心を掴んだ。同僚たちがサッカーボールで遊んでいるのを見ると、自らもサッカーボールを購入したほどだった」
入団後から積極的にチームに溶け込んだ今永は、MLBデビュー戦でもファンやチームメイトを魅了した。バスティアン記者は、「どのように投球すれば、MLBの打者に有効なのか。日本時代とは違う状況のなか、今永はオープン戦で試行錯誤を重ねてきた」と記し、「正しい手法を取り入れて投球している。その調整能力こそが、MLBの選手に必要な点なんだ。今永の調整能力は一流だ。今シーズンの活躍を楽しみにしている」とクレイグ・カウンセル監督の言葉を引用した。

今永の好投に、チームメイトも賛辞を送った。左翼手のイアン・ハップは、「素晴らしいパフォーマンスだった。このチームに加わってくれて、とても興奮しているよ。MLBで初めての登板だったけど、経験を持っているから何をどうすればいいのか、完全に理解してる」と語り、ヤン・ゴームズ捕手は「彼がどれだけゾーンを攻めたことか。球種を変え、ゲームプランを考えるのは楽しいね」と打ち明けた。

米国と戦った2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝で、今永は先発して勝ち投手になった。この事実は米国内でも盛んに報じられている。カウンセル監督は、「大事な場面で活躍してきた投手なのは間違いない。このような投球内容は以前から何度も見せているし、今回もそのような試合だった」と振り返った。

MLBデビュー戦で特大のインパクトを残した今永。次の登板は、中5日で迎える現地7日のロサンゼルス・ドジャース戦と予想されている。登板となった場合、ムーキー・ベッツ、大谷翔平、フレディ・フリーマン、ウィル・スミス、マックス・マンシーら強力打線のドジャースに対して、はたして今永はどのような投球を見せるのか。期待は膨らむばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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