PXG 0311 Black Ops ドライバーを西川みさとが試打「昔のビッグバーサっぽい10K」

妥協知らずPXGの“10K”ドライバー HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

ミスの強さに定評のあるPXG「0311」シリーズから、ウエート調整次第で上下左右の慣性モーメント合計値1万g・cm2超えの「0311 Black Ops ドライバー」が誕生。ソールには3カ所の交換可能なスクリューウエートを配し、スピンとバイアスに応じた調整を可能にした。一切妥協をしないと公言するPXGの自信作“10K”モデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「絶妙シルエットは好印象 打ち出しの高ささえ出れば… 」

左右のブレはないものの高さが思うように出ていなかった

―率直な印象は?
「構えて見た形状は、やさしさと操作性がバランスよく融合していて、とても好印象に映りました。全体的に丸みを帯びたシルエットで、やさしさが伝わってくるのに、単に大型でボテッとした顔立ちではなく、どことなくシャープさも感じ取れる。ただ、視覚的には球が楽に上がってくれそうなイメージが湧くのですが、実際に打ってみると低スピン性能がしっかり備わっているせいか、やや上げにくい。もうちょっとスピンが入ってくれれば(平均1987rpm)、思い通りの弾道になるのに…と惜しい気持ちになりました」

飛距離と寛容性を同社独自に妥協なく構築

―見た目は好みのシルエット?
「はい。ネックからフェースにかけてのラインが、ストレートでありながら程よい丸みを帯びていて、狙いやすさと上げやすさが連想できる形状です。後方もキュッと三角形すぎずにシャープな形状を保ちながら若干の丸みが付いていて、絶妙に投影面積が広く感じられます。ソールしたときのライ角もフラット過ぎず、アップライト過ぎないドンピシャな角度。弾道のイメージが自然と抱ける、私好みのシルエットです」

絶妙なアドレスビューに西川絶賛

―ボールが上がらない要因は?
「なんですかね…。コースに出ればランで稼げるかもしれないですが、弾道の高さが出ないことには理想の飛距離も望めません。現在、どのメーカーからもロースピンモデルが発売されていますが、その中でもかなり低スピンの性能に振った部類に入ると思います。今回はロフト角10.5度で試打しましたが、カチャカチャ機能で+1.5度ロフトを付け(11.5度設定で)、打ち出し角を出す仕様にすればまた違った結果が出ると思われます」

左がスタンダード、右が「―Tour-1」

―兄弟モデル「―Tour-1」と比べると?
「サイズ感はひと回り小ぶりで、操作性の高さが想像できる美しいヘッド形状です。今作と比べると性能はハードですが、手が出せないほど難しく感じる外観ではありません。他社のLS(ロースピン)モデルと比べれば、安心感は程よく抱けるやさしさを有しています。ある程度のスピードは出ないと扱いきれないとは思いますが、それほどパワーヒッターでなくても使えるレベル。『―Tour-1』といってもツアープロ限定モデルではなさそうです。両モデルとも全体的に寛容性が高く、やさしいシリーズという把握で良いと思います」

フジクラ共同開発の純正シャフト重量帯別「55」と「65」

―他社でいうと類似モデルは?
「往年のキャロウェイ『ビッグバーサ』シリーズのような円形で大型サイズ、ミスに対する寛容性の高さや安心感を抱けるフォルムは相通ずるものがあります。今回の試打では、そこまで飛距離にはつながりませんでしたが、多くのゴルファーに共通した扱いやすさを感じ取ることができました。類似モデルは普遍的で誰もが扱えるドライバーであり、意外とターゲット層は広いと思います」

「打音がもう少し大きくてもいいかなって思うほどおとなしめ」(西川)

―どのような人向き?
「ある程度はパワーのあるゴルファーで、HSでいえば40~42m/sは欲しいです。そのうえで、ロフトはいつも使用している設定より少し寝かせて打ってほしい。平均HS34.8m/sの私でも打ち出し角がもう少し出せれば(平均13.7度)、すごく扱えるヘッドだと思ったので、余程スピンで高く上がってしまう人でなければ、いつもよりロフトアップさせて使うことをお勧めします。元々スピン過多で吹け上がってしまう人はもちろん、私のようにスピンが少なく出てしまう人でも、カチャカチャ機能を前提に購入を検討していいモデルではないでしょうか」

構えやすさ4.5〇でも飛距離は3.5△【総合評価4.0点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:PXG Fujikura Pro Series 55(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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