水俣病熊本訴訟 鹿児島、熊本の原告100人超が4日福岡高裁へ控訴

「不当判決」と書かれた紙を掲げる弁護士ら=3月22日午前11時4分、熊本市の熊本地裁前

 水俣病特別措置法に基づく救済策の対象外となった鹿児島、熊本県在住者ら144人が国と熊本県、原因企業チッソに1人450万円の損害賠償を求めた集団訴訟(熊本訴訟)で、原告100人以上が、請求を退けた熊本地裁判決を不服として、4日に福岡高裁に控訴することが分かった。2日、弁護団が明らかにした。

 弁護団によると、原告一人一人に控訴の意思を確認中で、人数は確定していない。4日に会見を開き、原告らが控訴の理由などを明らかにする。

 3月22日の熊本地裁判決は、鹿児島県側の9人を含む25人の水俣病罹患(りかん)を認めた一方、「損害賠償請求権が消滅する20年の除斥期間が過ぎた」として請求を棄却した。昨年9月の大阪地裁判決では原告全員を水俣病と認め、国などに賠償を命じていた。

 熊本訴訟の原告は51~100歳の男女1400人で、うち半数以上が出水市や長島町など鹿児島県内に暮らす。今回の判決の対象は2013年に提訴した1、2陣。不知火海(八代海)周辺で生まれ育ち、チッソが排出したメチル水銀に汚染された魚介類を日常的に食べ、水俣病を発症したと主張した。
 

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