さよならCUBERS、そしてまた会う日まで 新たな旅立ちへの祝福と“らしさ”に溢れたラストライブ

2024年3月31日、東京・豊洲PITでCUBERSのラストライブを見届けた。昨年6月に解散を発表してから、すべての季節でキュー部(CUBERSのファンネーム)と共に思い出作りをしてきた5人の、これが本当に最後のパフォーマンス。涙でステージが見えないなんて勿体ない。できれば笑顔で、しっかりと目と耳と心に焼き付けよう。

「Final CUBERS」の巨大電飾、七色の照明、輝く白い衣装、青赤のペンライト。オープニング「メジャーボーイ」から5人は気合満点、メインステージとセンターステージをいっぱいに使って躍動する。側転や馬飛びで沸かせる「Five Step」、掛け声を合わせて一つになる「妄想ロマンス」、手拍子で盛り上がる「Bi'Bi'Bi'」。思い切りファンクでポップでダンスでハッピーな、CUBERSらしさを束ねて最初からぶっ飛ばす。

「みなさん楽しんでますか! すでにたくさん盛り上がっていただいているんですけど、今から最後の自己紹介をしますので(えー!)……2回しようか?(笑)」(TAKA)

最後まで明るく楽しく自分らしく。末吉9太郎、優、TAKA、春斗、綾介、元気いっぱいの挨拶からの「WOW」、9太郎をメインにしたキュートなアイドルポップ「本日晴天快晴」、そしてピアノバラードとアップテンポの二面性を持つ「君に願いを」へ。かっこいいCUBERS、可愛いCUBERS、どっちもCUBERS。本当にいろんな曲があったよなと、感慨を噛みしめながらもライブは進む。

バックダンサーを従えた5人のソロダンス(優の“上着投げ”とTAKAの“スカーフ投げ”はかっこよかった!)をはさみ、「Twilight」「For Good」は切なくメロディアス、聴かせる曲を並べて「歌えるCUBERS」をアピール。特に「For Good」の、気持ちのこもったTAKAの歌にはぐっと来た。大切な思い、大切な曲。これが歌い納め、聴き納めだと思うとエモーションが倍加する。

衣装替えの時間も有効活用、メンバー影アナの手拍子ゲームで盛り上げたあと、「Beautiful world」からライブ再開。カラフルなソフトスーツの裾をひるがえし、バックダンサーと共に「踊れるCUBERS」をアピール。「歌って踊れる」とよく言うけれど、フォーメーションとストーリーを重視するCUBERSのダンスは簡単じゃない。信頼関係がないと成り立たない。この5人じゃないと成り立たない。

「Please call me」「全然今しかない」を経て、中盤で最高に盛り上がった瞬間は……MCタイム。9年間の思い出を語りながら、優のキュー部への数々の塩対応エピソードに笑い、「次の曲なんだっけ?」とこっそり確かめている綾介に笑い、「つまり、ぞっこんLOVE」の曲紹介について9太郎の無茶振り(「アニマル浜口さんみたいに!」)に本気で戸惑う春斗に笑う。ラストライブがこんなに面白くていいのかと思うが、これでいいのだ。これがCUBERSだ。

あっという間にライブは後半。クラップとジャンプとタオルと、銀テープをぶっ放すキャノン砲で盛り上がる「Chi-Chi-Chi」。メンバーが客席に飛び込んみ、それはもう大騒ぎな「Romantic」。つんく♂から贈られたラストシングル「スキャンダラスKISS~final act~」は、撮影OKのボーナスタイムで、無数のスマホが5人の熱いパフォーマンスを見つめる。目で、心で、レンズで切り取る、CUBERSの最後の雄姿。「Fire Dance」と「Circus」でさらに気持ちが高まると、ライブはいよいよクライマックスへ。

「僕も、TAKAも、優も、9太郎も、綾介も、ここにいるみんなも、CUBERSが大好きです。大好きなまま、明日からそれぞれの道を歩みます」

春斗の挨拶が、次第に涙にまみれる。しかし「これからも、時々空を見て、みんなのことを思うと思います」と、ラストソング「空の上」の曲紹介をしっかりやり遂げる。優しさに包まれた美しいミドルバラード。この想いは一つさ。最後にふさわしい優しい歌詞が沁みる。あたたかい拍手が5人を包む。「以上、CUBERSでした!」と、5人の力強いユニゾンが響き渡る。全20曲、1時間50分の渾身のパフォーマンス。

もちろんここでは終わらない。終わらせない。アンコールはいきなり会場の扉から登場、もみくちゃになりながら「CHOICE」(これも撮影OK)を歌い、歌い終えたら思い出話に花が咲きまくり。デビュー当時のボイスブログの裏話、レッスンをサボって5人でスタバへ行った話、リハーサルなのにずっと『荒野行動』をやっていた話。つくづく、なんて仲のいい5人だろう。初期の代表曲「Baby Fever」「SHY」を歌い踊る、パフォーマンスのレベルは大人になったけれど、5人の心の関係はきっとあの頃のまま。

最後の1曲を前に、5人が自分の言葉で熱く語った胸の内はとてもここでは書き切れない。いつかどこかで、何かの形で表に出るだろうから確かめてほしい。ただ一つ共通していたのは「感謝」の二文字。全員が素晴らしいスピーチだったが、優がメンバーに伝えた「楽しいこと、辛いこと、悔しいこと。全部を笑い飛ばせたのは、あなたたちだったから」という言葉と、ファンに伝えた「みなさんが喜んでくれるから、僕たちは頑張れました」という二つがすべて。ベストアルバムに収めた最後の新曲「Add Love Song」が、あたたかい音で喜びも悲しみも包み込む。これで本当に終わり。

ではなかった。ダブルアンコールで戻って来た5人が歌う、本当に本当のラストソングは「Samenaide」。未来への希望を歌うこの歌を最後にしたわけは、CUBERSは決して終わらないから。「必ず再結成します!」と、TAKAの力強い宣言に涙と笑顔が入り乱れる。「また会いましょう!」と、手を繋いで頭を下げる5人に拍手と歓声が贈られる。それは再び出会うための、新たな旅立ちへの祝福だ。外の桜はそろそろ満開だ。さよならCUBERS、そしてまた会う日まで。

(文=宮本英夫)

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